2007年05月23日 10:05
米国法律事情パート1(企業法務/岡田)
■アメリカの弁護士事務所
アメリカでは弁護士といっても
いろいろ分かれており、
まず弁護士登録されると、
弁護士事務所に入ります。
弁護士事務所は400-500人の中規模です。
弁護士事務所に入った弁護士は、
最初の7年間、アソシエイトと呼ばれます。
アソシエイトとは、いわゆる
給料をもらう人達のことです。
その後、パートナーという
弁護士のポジションに就きます。
パートナーというのは、
弁護士事務所の
プロフィットを分ける
権利を持つ弁護士たち、
いわゆるオーナー、経営者側です。
この7年間のアソシエイトの時期、
7-8年は、まさに奴隷生活です。
7-8年は、24時間、365日、
いつもスタンバイ状態です。
アメリカでこれほど
徒弟制度の厳しい世界というのは
他にないと思います。
そこで生き抜かないと、
だんだんと小規模な
法律事務所に流れていきます。
司法試験というのは
あくまでもスタートラインに過ぎません。
その後で、競争の中で
生き残っていくというのが
アメリカの弁護士です。
病院に例えると、
アメリカの法律事務所は総合病院です。
その中で科に分かれています。
例えば民事、刑事、知的財産、
企業法務、税法、訴訟など。
法廷に立つ弁護士は主には、
訴訟担当の弁護士です。
彼らは例えば演劇学校にも通います。
パフォーマンスやファッションなど、
そういうことも身に付けます。
アメリカではもちろん陪審員制ですから、
どういうふうに訴えるかというのが
非常に大事です。
そういう訴訟担当の弁護士と、
例えば刑事の事件の場合は
刑事の部門のロイヤーが組んで、
あのような法廷になっています。
■日本の弁護士事務所
日本の弁護士を病院に例えると、
個人の町医者がほとんどです。
例えば福岡で1番大きい事務所でも
15、16人ですね。
東京にある大きな事務所は、
元々は渉外法律事務所と呼ばれたところで、
国際案件を担当する事務所でした。
それが今何故か
総合巨大事務所になってしまいました。
巨大といっても
アメリカに比べるとまだ小さいですが。
■渉外弁護士
元々渉外弁護士というのは、
日本と例えば欧米などの外国の橋渡し的な、
まさにメッセンジャーボーイ、
失礼ですが、でした。
例えば日本の企業がアメリカで
何かビジネスをやる場合に、
当然アメリカの法律というのは
分かりません。
向こうの弁護士を
直接使うという事は非常に難しい。
それで日本の弁護士を間に立てて、
その弁護士に通訳、
あるいはいろんな解釈を
やってもらうことが必要になります。
ところがこの渉外弁護士が
海外といろいろやっている間に、
海外の弁護士の仕事のやり方を
学んでしまいました。
当然向こうの法律についても
知識は付きますが、
また、海外の弁護士事務所の
経営のやり方をも学んでしまいました。
元来、弁護士というのは
向こうからの輸入です。
しかも彼らは、
日本の国際的なビジネスを行う大企業が、
彼らのクライアントだったという
利点もあります。
渉外弁護士を行う過程で、
日本でどんどん知識も溜まってくるので、
「わざわざ向こうの事務所を使う必要はなく、
日本の事務所を使っていいですよ」
ということで、
メッセンジャーボーイだった
渉外弁護士達が
自分たちでこっちの事務所を
どんどん巨大化していきました。
巨大化していき、
弁護士事務所としての
システムも出来てきました。
そこにまた今度は
国際的な取引だけじゃなくて、
民事や刑事などの、
いわゆる一般的な法律の仕事も
その事務所の中に抱えるようになって、
大きくなっているのが現状です。
最近、国際弁護士という肩書きの方が
テレビにも出演されています。
しかし、国際弁護士という資格はありません。
あくまでも日本の場合は日本の、
アメリカの場合は州ごとの資格になります。
■アメリカの損害賠償に対する考え方
アメリカの場合、
約230人に1人の弁護士がいます。
皆さんご存知のように、
アメリカは法社会と言われています。
何かあれば全てが法律に持って行かれます。
例えばアメリカのニューヨークの
ホームレスが
いつも地面を見て歩いているのですが、
これは別に落ちているお金を
探している訳ではなく、
道路の穴を探しています。
そして、穴を見つけたら
そこに足を突っ込んでけがをして、
自治体を訴えます。
それで、判決によって
賠償金が取れるときは
相当な金額が取れます。
もちろん、
賠償額の考え方が
日本とは全く違っています。
陪審員制度ということもありまして、
損害賠償というのは懲罰的賠償、
ピューニティブ・ダメージと
いうふうに呼ばれますが、
加害者に対していくらペナルティを科せば、
加害者がもう悪いことを
しなくなるだろうかということで、
賠償額が決まります。
例えばさっきの話だと、
ホームレスが怪我をしたということで、
守ってやらなきゃということじゃなくて、
いくらペナルティを科せば、
自治体がきちんと道路の整備を
するだろうかということで
賠償額が決まります。
例えば、マクドナルドのドライブスルーで
コーヒーで火傷を負った
70歳くらいの女性が、
50億円の損害賠償を
マクドナルドから取りました。
これは、その火傷に対しての賠償じゃなくて、
それはマクドナルドのマニュアルの中で
ドライブスルーでコーヒーを渡すときに
「これは熱いから気を付けてください」
というマニュアルがなかった
という事に対しての懲罰です。