2008年03月03日 08:00
ベンチャーファイナンス(1)(ベンチャー企業/五十嵐)
今日から3回にわたって、
ベンチャー企業の資金調達について
お話をしていきます。
■資金を集める方法論■
まず気を付けなければいけないのは、
お金を集める方法です。
会社を興すにあたって、
すぐに銀行からお金を借りなくてならない
という発想になりがちだと思います。
しかし、実はお金の集め方は沢山あります。
例えば大企業と提携をして
研究開発費を出してもらったり、
何か製品を専売で売る権利を渡し、
契約金を受け取ったり
株の一部を持ってもらったり、
他にも、例えば経済産業省や
福岡県のような公的機関から
研究補助金を獲得する
というのも一つの資金調達の手段です。
また、別の方法もあります。
例えば、リースで装置を手当てしたり、
車まではレンタルで賄うことも
資金調達手段になります。
また、仕入資金の立替が必要であれば、
商社に仲介を依頼し、
立替資金を融通してもらうことができます。
これまであげた資金調達ばかりではなく、
考えれば、多種多様な方法があるはずなのです。
ですから、最初から、
一つや二つに決め付けるのではなく、
色々な調達の手段があるのだということを
肝に銘じることが、最初に考えるべきことです。
とはいえ、代表的な資金調達手段は、
ベンチャーキャピタルと銀行ですから、
この二つを中心に
お話をしていきたいと思います。
ベンチャーキャピタルについては、
耳慣れないかもしれませんから
徐々に詳しくお話していきますね。
■復習 ~ ベンチャービジネスの成功確率■
以前、ベンチャーの成功確率は
通例、1000に3つ、
いわゆるセンミツであり、
非常に低いというお話をしました。
このセンミツから3つのことが導き出せます。
ここで3つのことを確認しておきます。
第一に、分母を確保する必要があります。
つまり1000ないと3つが出てこない。
100であれば1つもないかも知れません。
つまり量的な確保ですね。
いかに優秀で偏らない、
多くの投資、融資先を探すかということが、
お金の出し手には必要なことです。
第二は、分子の話です
いかに企業の成長を加速させるか、
あるいは、倒産しにくくするか、
あるいは、どうやれば企業価値を上げられるか、
いわゆる質的な向上を
考えなくてはいけません。
第三に、ベンチャーの成功は
1000に3つであるばかりでなく
最初に失敗が来て、成功は最後に訪れます。
どんどん先に失敗が積み重ねられ、
成功はいつ出てくるかわからない。
後からくるであろう、わずかな成功によって
どのように先行する失敗の山を賄うか。
この、タイムラグへの対応も
資金の出し手にとっては難しい課題です。
アメリカの著名な経営学者は、
「腐ったレモンは3年でできるが、
素晴らしい真珠になるには5年以上かかる」
と語っています。
やはり、
素晴らしい企業に成長するためには、
相応の時間が必要ですね。
■ベンチャーキャピタルからの調達確率■
前項でベンチャービジネスの成功確率を確認しました。
今回のお話は、
ベンチャーキャピタルからの出資・投資が主題です。
しかし、「成功」の定義というのは
なかなか難しいのです。
株式公開(IPO)や成長、あるいは生存も成長の尺度の1つです。
資金調達の成功ということを念頭において
アメリカの1990年代、ちょうどネットバブルが盛んな頃、
報道された話を紹介します。
まず、世界を変えるというような
ビッグアイデアを持っている人が
250万人いるとします。
その内、実際に
ビジネスエンジェルも含めた投資家に
紹介されるのは50万件くらいです。
その中で、
ベンチャーキャピタルから
投資を受けられるという数は、
3000~5000位だというのです。
相談受けた中から、
確率的には1704分の1という
極めて小さな数の会社しか、
投資を受けられていないということです。
さらに、エグジット(EXIT)、
つまり株式公開至るか、
他の会社に会社の株式の売却の成功した件数は
約600社ですから、
投資を受けた会社の833分の1です。
つまり、ベンチャー企業の成功率は
1000に3つに満たず、
加えて、ベンチャーキャピタルから
資金調達に成功する確率ですら、
極めて低いというのが現実です。
ですから、実際に
成功するかどうかという以前に、
ベンチャーキャピタルから
投資を引き出す事自体も、
ものすごく難しいということが
ご理解いただけると思います。
アイデアを持っている人はたくさんいます。
そこで大切なのは、
誰と組んでどのようにビジネスを立ち上げるか
ということです。
■3F■
会社を立ち上げる時、
まだ製品はできていないし、
会社がどういう組織になるか分からないが、
資金調達しないといけない時、
最初にお金を出してくれる有難い存在は、
アメリカでは3F(スリーエフ)と言われます。
一つ目のFは、FamilyのFで、親兄弟です。
二つ目のFは、FriendのFで、友達です。
友達に資金調達を依頼することで、
友達関係を壊すかもしれません。
しかし、一番親しい友人さえ、
信じて出資しないような起業家に対しては、
誰にもお金出してくれないことも真実です。
三つ目のFは、FoolishのFで、
大馬鹿者、こんな訳のわからないシロモノに
お金を出す酔狂者という意味でのFoolishです。
アメリカの場合、一回成功すると、
こいつの為にちょっとお金出そうかなという、
「エンジェル」と言われる人たちが出てきます。
このエンジェルも自信を持った
酔狂ものと言えるかも知れません。
リスクの高いもの、
最初にお金を出すのはやはり家族であり、
友達であり、大馬鹿者なのです。
一番信頼できる人に
信じてもらえない者については、
誰もお金を出してくれないのだということは、
肝に命じておく必要があると思います。