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2006年07月20日 08:20

製造業の2007年問題 (産学連携/高田)

今日は「製造業の2007年問題」という話題を取り上げたいと思います。


■ 製造業の2007年問題

2007年、団塊の世代が
一斉に退職し始める時期を迎えます。
これは、長く勤めた熟練工の方々が
現場からいなくなってしまうことを意味しますから、
大変大きな問題です。
たとえば、熟練工の方の中には、
指の感触によって1000分の1ミリの単位で
物の表面形状を確認される方がおられます。
このように、長い時間をかけて
類稀なスキルを身につけられた方々が
たくさんおられますが、
そういった方々が現場から
一気にいなくなってしまうのです。

このため、これまで日本が誇ってきたものづくりが
これからも継続出来るのか
ということが危惧されているのです。
2007年問題は、製造業にとって
非常に大きな問題なのです。


■ ピンチをチャンスに

2007年問題は
全体的に見ると大きなピンチと考えられます。
しかしながら、こういった時期が訪れることは
前々から分かっていたので、
中にはこの問題をチャンスと捉えて、
色々な新しい取り組みを行っている企業もあるようです。

たとえば、工場の製造工程の
細かなノウハウは属人的で
“個人”に蓄積が進むため、
その工程に携わる方は熟知しているけれど、
その工程に携わらない隣の工程の方はそれを知らない、
つまり職場全体でノウハウが共有されていない
という問題があります。

例えば、これを細かくデジタル記録するなどして、
製造工程全体を一気にIT化、システム化してしまおう
という取り組みを行っている企業が多くあります。
これによってベテランの製造ノウハウを
会社全体で財産として共有出来ます。
このように製造工程全体を
もう一度見直して問題点を改善し、
従来よりも効率化、高度化するのです。


■ 製造ノウハウの共有とそのメリット

従来は属人的であった製造ノウハウをシステム化し、
共有できるようになれば、
他の製造工程に携わる技術者の方も、
自分の専門領域以外のことを
簡単に学ぶことができるようになります。

また、このようなシステム化は
若手の人材育成における効率化
というメリットをもたらします。
これまでは「見て覚えろ」という感じで
何年もかかって教え込んでいたのを、
細かなノウハウを
たとえばビデオの映像や絵を多用し
ビジュアルに説明できるようにする。
すると、若手もさほど時間をかけなくても
やり方を覚えることができるようになるわけです。

よく「一人前になるには10年かかる」
などというようなことを耳にすることがありますが、
これから10年もかけて悠長に人材育成を行っていると、
団塊の世代の熟練工の方々はいなくなってしまいます。
企業のこの取り組みというのは、
数年間の短期勝負で
一気にノウハウを整理して
会社にストックしておきましょう、
そしてそれを効率的に利用していきましょう
という動きだと言えます。


■ これまで製造ノウハウの共有が実行できなかったわけ

逆に、これまで何故それがやれなかったのでしょうか?
それは、会社側が熟練工の方々に対し
遠慮していたということも理由のひとつかもしれません。
たとえば新しい試みを製造現場に持ち込もうとしても、
職人さんや技術者の方々が
「俺たちにしか出来ない仕事に余計な口を出すな」
というような反応が、
やはりどうしても起こってしまっていたわけです。
しかし、その彼らも一斉に退職してしまいますので、
もはやそうも言っていられなくなりました。
このため、会社も
思い切った動きを始めているということなのです。


■ 「製造業の2007年」は「製造業の改革元年」

企業のこういった動きに鑑みると、
「製造業の2007年」というのはある意味では
「改革元年」と呼ぶことができるでしょう。

実際、経済産業省も、
国としてこれを応援しようとしています。
既に昨年から産学連携で
製造中核人材を育成支援しましょうという事業が
全国で展開されています。

例えば、九州では3つのプロジェクトが進められています。
その一つは、九州大学で行っている設計や製造分野での
中核リーダーの育成プロジェクトです。
これは特に溶接設計や
歯車の製造などに関わる人材育成が中心となっています。
一般に、熟練の技術者の方が
手掛けられた設計というものには、
トラブル防止などのノウハウが
沢山詰まっています。
しかしながら、
若手はそれが分からないまま設計に携わり、
その結果トラブルを招いてしまうケースが
これまで結構多かったようです。
このプロジェクトでは、
「設計段階で具体的にこうしないと
トラブルが起きますよ」というようなことを含めた
教育がなされています。

あるいは、九工大が中心になって、
金型産業の高度化を目的とするプロジェクトが
進められています。
北部九州には自動車関連の製造工場が
かなり集積してきていますが、
たとえばそういうところのニーズに応えるような
地元の金型産業を高度化することを推進しています。

さらに、熊本では半導体や電子部品製造での
高度な製造人材の育成ということなども行われています。

このように、「製造業の2007年問題」に端を発し、
製造現場の改革が色々な形で進もうとしているのです。

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