2006年10月04日 08:20
中国における日本企業の戦略展開状況(3) (中国ビジネス/永池克明)
前回までは日本の製造業の中国への
展開状況についてお話してきましたが、
今回は少し視点を変えて、
サービス業に関するお話をしたいと思います。
■BtoCで躍進する宅配便ビジネス
サービス業の中で、
非常に有望な市場と見られているのが宅配便です。
特にその中でも個人向けの宅配が現在伸びてきています。
そのような中で、日本企業で
積極的な戦略展開を行っているのが佐川急便です。
佐川急便は日本では「セールスドライバー」といえば、
集荷や配送といった業務と合わせて
営業活動も行うドライバーということで有名ですが、
同社は中国においても同じ仕組みを導入しました。
同社は2003年1月に住友商事と
上海の現地企業である大衆交通集団と共同で
「上海大衆佐川急便物流有限公司(上海市)」を設立し、
2003年10月に同じく住友商事と
北京の京泰実業有限会社と共同で
「北京住商佐川急便物流有限公司」を設立しています。
設立当初は中国では個人宅向け荷物を預ける習慣がなく、
企業間の小口物流を中心に展開していたために苦戦していました。
しかし近年の所得増大による消費の変化によって、
企業から個人への荷物の取り扱いが増加し、
それらが売上げベースで3分の1を占めるまでに成長しました。
本年は個人向け宅配事業が昨年に比べ
1.5~2倍に拡大する見通しで
黒字に転換する見込みとなっています。
そしてその中でも特に以下のような
顧客の荷物の取り扱いが増加しています。
・テレビショッピング
転機となったのは、中国で市場が拡大する
テレビショッピングの運営会社からの受注が増えたこと。
上海のテレビショッピングの大手
「東方CJ」からの受注によって
取り扱い荷物が増加しました。
また、上海以外でも、天津、広州、長春といった
各都市のテレビ局でテレビショッピングの番組を
制作する動きが相次いでおり、
今後も拡大が見込めます。
・カタログ販売
日本の文具メーカーである
コクヨのカタログ通信販売が好調です。
この結果、テレビショッピングとカタログ通信販売の
両者の寄与によって同社の取り扱い個数は
創業当初の1日100個程度であったのが、
4000個に拡大するまでに成長しています。
・ネットショップ
次に期待できるのがネット販売です。
今や中国のネット人口は1億人を突破し、
「易趣ネット」、「アリババ」、「卓趣ネット」、
書籍専門の「当当ネット」といった
ネットショッピングの需要が増大しています。
現在は郵政系の物流網と一部連携しているが、
今後は宅配事業への波及効果も大きい。
これからも成長が見込める分野の一つです。
中国における佐川急便の強みは、
日本式のきめ細かいサービスによる差別化にあります。
例えばオンラインによる荷物追跡サービスや
受領印を荷主にファックスするサービス、
代金回収といった顧客ニーズに応えるためのサービスを提供しており、
今後はさらにGPSを利用したリアルタイムの
荷物追跡サービスを導入する予定とのことです。
このような高品質、高価格、高サービスという特徴は、
今まで紹介してきた日本の製造業と相通ずるものがあります。
また、日本で行っているのと同水準の
キメの細かいサービスを導入して成功していることも
化粧品メーカーと共通していることも、
中国ビジネスのKFS(Key Factors for Success)として示唆的ですね。