2006年12月20日 08:20
グローバリゼーション3.0時代で生き残るには (アジアビジネス/永池)
前回はグローバリゼーション3.0時代の幕開けということで、
バックオフィスといわれる一般的な業務や
デジタル化が可能な業務が、
次々に低コストで調達できる国の人々に
取って代わられているというお話でした。
今回はそれに引き続いて、
そのようなアウトソーシングの流れに影響されない
仕事や能力を持つことについてのお話をしたいと思います。
■アウトソーシングにされにくい能力とは
アウトソーシングされにくい仕事や能力には
いくつかの特徴があります。
まず、他の人が容易にまね出来ない仕事、
あるいは極めて特化した仕事や能力を持つ人です。
第2に、地元にしっかりと密着している仕事。
九州で言えば、九州の地場に関する
知識や顧客、患者や同僚等、
直接個人的に長期に亘って築き上げた
交流や結びつきを必要とする仕事、
これも簡単にはアウトソーシングされません。
第3に、これから特に有望であると思われるのが、
「新しいミドルクラス」と呼ばれる人々です。
これは、
(1)共同作業者・まとめ役:
優れた共同作業者である人や企業のサービスを
ローカル市場に向けて調整する能力を持った人、
もしくは企業内の合成役(シンセサイザー)に成り得る人のことを指します。
共同作業者というのは、いわゆるまとめ役です。
企業のグローバル戦略によって
企業の様々な仕事が世界の各地に立地するようになりました。
このような場合、国境を超えた水平的な共同作業を
上手に調整して束ねる力が必要となります。
例えば、異なった人種や様々な文化を持つ人材を
まとめ、調整し、管理する能力を持つ人が重要になります。
(2)ローカル市場向けの調整者:
企業のサービスをローカル市場向けに咀嚼し,微調整する力
(3)合成役(シンセサイザー):
異種のものを結びつけることで価値を生む能力です。
例えばデルコンピュータのように、
他社が作ったパーツをうまく組み合わせて、
消費者の前に製品をどんと置くという商売が該当するでしょう。
デルの付加価値というのは、
このように他社に負けない組合せの能力を
有した人たちが沢山いることにあると思われます。
■デル・コンピュータやロールスロイスのコアコンピタンス
デルのケースを紹介します。
デルコンピュータの場合、開発はアメリカのオースティンと
台湾にあるデザインチームによって
24時間の共同作業で行なわれています。
また、部品はインテルのマイクロプロセッサー以外は
台湾、日本、米国、韓国、イスラエル等、
世界の約400社以上からアウトソーシングしています。
アジアの場合、それらはマレーシアのペナンにある
ロジスティクスセンターにカンバン方式で集められ、
顧客からの注文を受けると
直ちに組み立て作業が開始されて3時間後に完了し、
梱包されてペナン空港からアメリカの顧客に向かって発送されます。
顧客が注文してから大体4日間で
世界中の顧客の元に製品が届く仕組みとなっています。
デルの強みというのは、
サプライチェーンに関わる世界中の各工程での無数の作業を、
シンフォニーの指揮者のように、
ワールドワイドに合成・調整する(シンセサイズする)能力にあるといえます。
ロールスロイスは今は航空機エンジンの会社です。
売上の50%以上はサービス部門の収入、
従業員の40%が国外勤務で50カ国以上にいて、
50前後の言語を話し、部品の75%を
グローバルなサプライチェーンに
アウトソーシングないしオフショアリングしている。
社員は中国、シンガポール、インド、イタリア、スペイン、ドイツ、日本、
さらにはスカンジナビアに至る一貫したグローバル業務を統合する仕事に従事しています。
■今後は人材の価値が変わる。教育も変わらなければならない
このような時代の中では必要とされる人材の価値も変わっていきます。
日本も教育から変わっていく必要があると思われます。
(1)今までのように知能指数(IQ)が高い子供が
優秀であるという評価だけではなく、
好奇心指数(CQ)や情熱指数(PQ)の高い子供が
もっと評価を受けるようになる。
(2)人とうまくやる能力。
人が好きだとか人をまとめる、交流することがすごく上手な子供。
(3)新しいこと考え出せる人。
(4)柔軟な感性を持った人。
例えば楽器やコーラスなどの音楽活動、
チームスポーツをやる学生なども有望です。
(5)海外に興味を持ち、積極的に外国人と交流できる人。
日本を紹介でき、英語や外国語が巧みな人
このような能力をもっと伸ばしていくには、
従来の教育方法や評価方法を変えていく必要があります。
昔流に言えば、「読み、書き、ソロバン、記憶力」に優れた子供だけではなく、
上記のような資質をもった子供の個性や能力を伸ばす教育が求められています。
また、高等教育も変えていく必要があります。
理論だけでなく、実践を重んじる教育、
即ち、ビジネススクールが行っている実践的な、
プロフェッショナルな教育もますます重要になります。
海外で活躍する欧米やアジアのグローバル企業の
上級ビジネスマンの多くがMBA資格保持者でもあります。
また、ビジネススクールや大学に留学している学生も有望です。
2つの国の実情や言語を縦横に駆使でき、
かつ在学中に培った豊富な人脈を持つからです。
また、外国語が出来る、すなわち外国や外国人に興味を持つ人、
外国人を違和感なく迎え入れることができるということも必要です。