BBIQモーニングビジネススクール > 中国発 知的財産を巡る現状と対策(3)‐外資企業の研究開発 (産学連携/高田)

2007年04月11日 07:40

中国発 知的財産を巡る現状と対策(3)‐外資企業の研究開発 (産学連携/高田)

前回までは、
中国における知的財産を巡る現状と対策ということで、
特に模造品問題についてお話しました。
今回はこのような模倣品問題が出てくるような国で、
外資企業が先端的な研究開発を行えるのかというお話しをします。


■中国における研究開発拠点の位置づけ
北京の日本政府関係者によると、
現在のところ、
外資は中国国内に研究開発センターを
それなりに設置しているそうです。
ただし、何のための設置かというと、
中国政府から工場進出の条件として
「研究開発センターも設置してくれ」という要望があるらしく、
仕方なく設置するケースが多いそうです。


前回までにお話した
知的財産の問題があるため、
本格的な進出に踏み切れないというのが正直なところでしょう。
そのため、外資が設置したセンターでは
最先端の研究開発ではなく、既に日本や
欧米先進諸国で使われている技術を持ち込んで、
現地に適合するような改良を行う程度で
お茶を濁している状況です。


しかし、ここに来て日本企業も
中国での研究開発の位置づけを見直す必要性が
出てきています。JETROが行ったアンケート調査では、
回答企業の6割が中国で研究開発活動を実施していました。
この目的として最も高いのが
中国国内向けの製品開発となっており、
単なる生産拠点ではなく、
中国マーケットに適合する製品を開発する為の
拠点を置いていることが分かります。


中国の市場は巨大であり、
富裕層が例えば1%だとしても大変な数になります。
それだけの数の富裕層を狙った、
高額であっても品質の良い製品というのを
中国で開発していく必要があるということだと思います。


■中国での研究開発の留意点
中国で人件費が安くて優秀な研究者を雇用し、
研究開発を行うことに関心が高まりつつあります。
しかし、北京の日本政府関係者によると、
中国に研究開発拠点を置くことには
以下のような問題点が挙げられるとのことです。


(1)中国人の気質の問題
日本企業では、
社員が社内で開発した成果は
会社のものであるという認識は当たり前のように根付いています。
一方中国人は、会社で開発したものでも
自分の成果であるという意識が強いようです。


さらに、日系企業は優れた技術開発を行ったからといって
急な昇進や昇給は行わないため、
雇用のインセンティブが欧米企業に比べて
相対的に低くなってしまい、
研究者や技術者の流失とそれに伴う
情報漏洩のリスクが高くなります。


(2)日系企業の社内情報管理の問題
これまで、日本企業では、
よほどのことがないと社内の重要な情報を
外に持ち出すといった犯罪行為は起きませんでした。
しかしそこに甘えてしまい、
管理体制が不十分であったことは否めません。


それに対して欧米企業は、
多様なバックグラウンドを持つ人員から構成されているため、
社内の情報管理についてもきちんとルールを明確化し、
情報をしっかり管理する体制を構築してきました。
その点で、日本企業には遅れている点があるようです。


(3)法制度の問題
中国商務部が定めている
海外とのライセンスに関する規定は厳しいと言われています。


例えば産学連携ということで日本企業が
中国の大学と一緒に製品開発を行ったとします。
そこで優れた共同研究の成果を得たとしても、
そのまま日本に持ち帰るのが困難なケースも生じえます。
中国の場合、安全保障の問題と自国産業の保護という観点から、
国外に技術を持ち出してはいけないという
規制がかかる可能性があるのです。


さらに、前回紹介した通り、
中国では裁判の難しさもあるため、
中国で研究開発を行うことには依然として
高いリスクが伴うという印象があります。


しかし、中国には優秀な人材がいるということ、
そして雇用のコストが低いことは魅力です。
例えば日本に近い大連という都市では、
日本企業からソフト開発のアウトソースを受ける企業もあり、
その為の人材育成も行われています。
日本企業にとって、この中国のマーケットと人材を
どう獲得していくのかというのは、
経営戦略上極めて重要なことだと思います。

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