BBIQモーニングビジネススクール > 欧州の産学連携事情(1) ベルギーのIMEC (産学連携/高田)

2006年09月28日 08:20

欧州の産学連携事情(1) ベルギーのIMEC (産学連携/高田)

 先日、調査目的でベルギーとオランダの
産学連携機関を訪問しました。
これらの産学連携機関は
日本には見られないモデルを持っており、
最先端技術の商業化が熱心に行われています。
この状況を2回に分けて報告したいと思いますが、
1回目の今日はベルギーのIMEC(アイメック)
という機関についてお話していきたいと思います。


■ IMEC

 IMECは、ベルギーのフランダース地方、
ブリュッセルから電車で30分ほどの
ルーバンという大学街に立地しています。
1984年に半導体分野の研究開発を進めるために、
フランダース政府が設立しました。


 70人から始まったIMECですが、
設立以来順調に成長し、現在では
約1400人が活動するまでになっています。
予算規模も約300億円と、
非常に大きな規模で活動を行うまでになりました。


 IMECの活動について特筆すべき点は、
常に2世代先(次々世代)の技術開発を進める
という目標を掲げていて、しかも
それを実践している
点です。
このように、半導体分野の将来を決めるような
研究開発を行っていますので、
世界中の大手半導体企業やベンチャーなど、
500社以上のパートナーを持っています。


 このIMECの産学連携活動の特徴は、大きく3つ挙げられます。


■ 色々な技術者の交流の場を形成

 一つ目の特徴は、大学や企業など、
色々な技術者の交流の場を形成しているということです。
1400人のうち、実はIMECが雇用しているのは900人だけで、
200人は近隣の大学のドクターの学生、
それから300人は企業派遣の開発者という内訳になっています。


 つまり、基礎研究から商業化まで、
色々なタイプの人材が集まり、
日々の生活が産学連携そのもの
といえるような場を形成しているのです。


■ 世界から人・金・情報を集め、それを地域に波及

 二つ目の特徴は、世界から人・金・情報を集め、
それを地域に波及させるという点にあります。


 常に2世代先の研究を行っているので、
世界中の半導体企業はIMECと組まざるを得ません。
実際、IMECの収入の半分は世界企業から獲得しています。


 ところで、フランダース州がIMECを設立した目的の1つに、
“地域産業の高度化“というものがあるのですが、
最初からこの地域に半導体産業が存在したわけではないのです。
つまり、フランダース州は、IMECが世界企業と連携して
最先端の研究を行うことにより、
人・金・情報が世界中から集まるしくみをつくり、
その波及効果によって地域産業の高度化を実現させたのです。
その結果、今やIMECの収入の約20%は、
フランダース地域の企業からの委託によるものとなっています。


■ 企業の信頼の厚さ

 IMECの予算のうち、3割は政府資金、
つまり税金によって賄われていますが、
残る7割は民間企業からの開発委託によるものです。


 日本では、公的な研究機関というのは、
だいたい国や地方政府の税金が投入されて
運営されるというイメージがありますが、
IMECは約300億円の7割、
つまり約210億円という資金を
民間企業から獲得しているのです。
このことから、IMECに対する企業の信頼が
いかに厚いか
ということが窺い知れるでしょう。


 来週は、オランダの産学連携機関である
TNOをご紹介し、日本との取り組み方法の
違いについて考察してみたいと思います。

前の記事へ 次の記事へ


ブログ&ポッドキャスト検索

ページの先頭へ戻る