2006年12月05日 08:20
ブランド(1)-シェア至上主義からブランド戦略へ-(マーケティング/出頭)
■「ブランド」とは何か
今回は、ブランドについてお話したいと思います。
ブランドという言葉は、
燃やすという英語のburnと同じ語源で、
もともとは焼印という意味を持ちます。
これは昔、牛飼いたちが自分の牛に焼印を押すことで、
他人の飼っている牛と違うこと、
すなわち「識別」の印にしていたことに由来します。
このように、自分の所有物であることを主張する
マークや印といったものがブランドの起源です。
今日使われるブランドという言葉には
様々なレベルがあります。
トヨタ、ホンダなどは企業ブランドといわれますし、
それらの製品であるカローラ、シビックなどは
商品ブランドといわれています。
ブランドの定義は様々で、
百人百様の解釈があるといっていいほどです。
私流に「強いブランド」というものを定義すると、
「その個性が多くの人に認知されている企業や商品」
ということになります。
これまで、商品を顧客視点で定義することの重要性、
お客様の選び方、差別化の仕方のお話をしてきましたが、
ブランド論はその集大成ともいえるものとなります。
何故なら、ブランドの核となるのは
競合と差別化された個性豊かな企業や商品であり、
多くの顧客を持っていることだからです。
■強いブランドはプレミアムを生む
日本では一般的にブランドというと、
イタリー製の服、フランス製バッグ、
ドイツ製の車、スイス製の腕時計
といったものを思い浮かべますが、
私の話はこれらの様な、
いわゆるデザイナーズ・ブランドの話ではありません。
デザイナーズ・ブランドの話ではないのですが、
重要な点で一致することがあります。
それは、デザイナーズ・ブランドは
値段が高い、ということです。
他の同じような商品に比べて値段が高いということは、
価格にプレミアムが付いているということを意味します。
価格にプレミアムが付いていることで、
どのような良いことがあるのかというと、
先ずは、競合品に比べて利益率が高くなることが挙げられます。
更に、値下げ競争に巻き込まれにくいということもいえます。
このことも、市場が飽和、成熟している現在ではとても重要なことです。
デザイナーズ・ブランドに代表される
「強いブランド」は利益率が高い、
値下げ競争に巻き込まれない。
デフレに苦しみ、値下げ競争に呻いていた
多くの企業がブランドに注目しはじめた背景はここにあります。
■ブランドによる戦略の転換
高度成長の時代は、
利益を度外視してもまずは市場シェアを確保し、
市場シェアを取ってから儲けを考える戦略も有効でした。
「良いものを安く」という日本が得意とするモデルです。
しかし、デフレが長く続き、
ディスカウント競争で消耗した企業にとって
「強いブランド」がもたらす高い利益率、
価格抵抗力は大きな魅力となり、
従来のシェア市場主義からブランド戦略への
転換を促すものとなりました。
ブランド戦略への転換は、
日本企業が得意とした「良いものを安く」というモデルから、
「良いものを適正な価格で」という
経営モデルへの転換でもあります。
ブランドとは、外見上は会社名や商品名とそのシンボル、
ロゴ・マークだったりしますが、
「強いブランド」はより大きな利益をもたらすという意味で、
経済的なツール・道具であるということができます。