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2006年12月06日 08:20

中国における法制度の現状と問題点 (中国ビジネス/永池)

■増加する法を巡るトラブル
今回は中国の法律問題に関するお話です。
以前、6月14日の記事にて
ワールドカップサッカーのチケット問題に触れていますが、
今回はそれを踏まえた上で、
中国の法制度とその問題点について
整理していきたいと思います。


現在、非常に多くの日本企業が
中国に進出していますが、
その一方で法律に関するトラブルも多発しています。


どのようなトラブルかというと、
一つは中国の法制度そのものの欠陥によるものです。
また、手続きの煩雑さによるものや、
中国の行政当局による法律の解釈や
運用のミスによるトラブルも挙げられます。


他にも、中央政府が定めた基本法と
地方の定める自治条例や行政令の間に矛盾が生じてしまい、
進出しようとする企業が困惑してしまうケースや、
あるいは地方が勝手に越権的な立法を行ったことに対して
中央政府がそれに対して介入し、
企業にとっては余計におかしなものになってしまう
といったケースが見られます。


特にWTOへの加盟以降は、
様々な法律が毎日のように
公布され、改正され、廃止される、
まさに朝令暮改といえる状況になっています。


■発展途上にある中国の法整備
上記のような混乱を発生させた背景としては、
中国の法体制が未整備であることが挙げられます。
中国は現在、国を挙げて
人知国家から法治国家に向かおうとしています。
そのために、社会主義体制と法治国家を
結びつけるということを強引にやっているわけです。
ところが、中国は共産党による
一党独裁のため選挙も行われず、
民主的に政府とのバランスをとるというのが
ある意味非常に難しい状態になっています。


では、中国の法律がどのようになっているかというと、
地方自治体が作る条例と、国家が作る法律、
あるいは役所が作る政令、
特に地方政府が作る
規則や条例といった様々なものが乱立し、
しかもそれぞれが断絶された状態になっています。
そのため地方も中央も、
これらをどう整理すればいいのか、
現場で物事を処理していく上でも大変でした。


そこで、国の法律と国務院の法律、
地方の法律ではどちらの効力が上なのか
ということを交通整理をしたのが「立法法」です。
この立法法で相互の交通整理を行い、
法の優劣を調整し、矛盾を解消していく。
それでも判断できない場合は
全国人民代表大会の常務委員会で、
国務院が裁定するとこの法律に書いてあります。
このように中国は少しずつ
近代的な法治国家へ進歩しているわけです。


また、司法権に関してですが、
中国では司法権の独立はなく、行政の一環であり、
例えば裁判官の任免は、
その地方の人民代表大会の常務委員会の人達が選任する。
日本のように一つの所でまとまって裁判官を任免するのではなく、
その地方の政府から任免された裁判官が
その地方の裁判を処理している。
任免権がある上に、裁判所の施設、設備、中身、
一切合財を地方政府が握るわけであり、
その地方の政府や有力企業に対して
ものを言えるような裁判所ではありません。
現在、それをどう克服するかが大きな課題となっています。


■法意識の違いを認識した対策を
中国人の法意識は、ある意味では米国的で、
訴訟をすることについてはあまり抵抗感はありません。
中国人は法律というのは守るものでなく
利用するものだという意識が強いようです。
日本人は法律の遵法意識が旺盛ですが、
中国人はむしろ権力者や公安警察に
見つからない限りは何をやってもいいという感覚が強い。
訴訟観をみても非常に個人主義的で権利意識が明確です。
日本のように情を持ち込むのではなく論理的思考も強い。
ですから、ビジネスパートナーや顧客との
様々なやり取りについても気を付ける必要があります。
日常的にしっかりした法律情報の収集と
情報交換することが求められます。
あるいは専門家の意見とか
係りつけの専門家を作っておいてその意見を聞く、
地元の信頼出来る弁護士と関係を日常的に構築しておき、
しっかりとした対応策を立てることが重要になります。
しかしながら、現状ではそれらがどうしても不十分なため、
多くの企業がトラブルに巻き込まれています。


また、汚職の問題も指摘されています。
中国では権力者等には非常に従順ですが、
守るというより利用するという意識が強いために
目算があればもう何でもあり、
何をやってもいいじゃないかという感覚も
一方で個人の意識として強くあるようです。
これは政府の役人にも言え、
そのことが官民汚職の温床にもなり
多くの摘発事例にもなっています。


日本企業はこうした中国人の法意識にも
十分注意したマネジメントをしていくことが求められます。

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