2006年12月18日 08:20
日本企業のグローバル事業の展開に向けて(国際経営/星野)
■日本企業が活用できていない人材
今日は、
グローバルに事業を展開する日本企業の
国際経営の課題について、お話をさせて頂きます。
国際経営の著名な研究者である吉原英樹先生は、
日本企業の国際経営の制約要因として、
3つのポイントを挙げられています。
外国人の活用、女性の活用、MBAの活用です。
これらの人材がなかなか現在では
有効に活用されていないということです。
■外国人の活用
まずひとつめの
外国人の活用ですが、
日本企業が海外において、
現地社員に権限を委譲する度合いが
非常に低いということは広く知られています。
日本の本社が戦略を策定し、
現地に派遣された日本人がそれを実行する
という形態が多く見られます。
それを本国中心主義=エスノセントリックな経営と呼ばれます。
これが日本企業の典型的な形態です。
実際に派遣された日本人の社員が、
現地の人ほどに、その市場や文化や枠組みを
理解することはまずあり得ないと思います。
ですから、現地の人を通じて
進出先から得られる知識や資源などが
事業に活かされないとすれば、
多国籍企業としての優位性が
非常に少ないということになります。
そのように考えると経営の人材としては、
日本人に限定することなく、
より多くの国籍の社員を適材適所を考えて
登用されることになれば、
より多くの機会や可能性や得られるのではないかと思います。
■女性の活用
二番目は女性の活用です。
日本企業の中で、
女性の管理職の登用が非常に少ないということは
誰でも感じられていることではないでしょうか。
雇用機会均等法が施行されてから、
もう20年になりますが、全く同じスタンスで
男性と女性が活用されている企業は、まだまだ少数かと思います。
アメリカを代表的する
多国籍企業のひとつであるプロクター&ギャンブル社では、
ダイバーシティ・マネジメントということが言われています。
ダイバーシティ・マネジメントとは、
多様性のある経営ということですが、
人種、性別、年齢などにとらわれずに、
積極的な人材の活用を図るということです。
実際に同業種の日本企業に比べても、
女性の管理職の比率というのは10倍以上にもなります。
このプロクター&ギャンブルが
扱う商品の多くはトイレタリーが中心であり、
シャンプー、洗剤、化粧品などの家庭用品
ということもあるでしょうけれども、
女性の視点をより積極的に導入するということがされています。
これもまさに顧客の視点に立った
商品の開発や提供に繋がるのではないでしょうか。
■MBAの活用
三番目がMBAの活用です。
最近では、日本から欧米のビジネス・スクールに
留学するだけでなく、国内のビジネス・スクールで
MBAの取得を目指して勉強する人も増えてきています。
ただ非常に残念なことに、
MBAを取得しても日本の企業では
なかなか就職ができず、またMBAをもっていても、
その知識が生かされる部門に配属されたり、
活用のチャンスを与えられることは多くはないようです。
また例えば
企業からビジネス・スクールに派遣されて
2年間のコースを終えても、その後に活かされないであれば、
企業にとって大きな損失といえます。
もちろんMBAの知識が、
直ちに経営に反映できるわけではありませんが、
それだけの知識や視点を持つ社員がいながら、
その専門性に目が向けられていないことになります。
それは採用にも当てはまります。
ビジネス・スクールを終えたMBA達には、
一般の教育を受けた人に付加する
知識や考え方が備わっていますが、
必ずしもそれが評価されていないようです。
■これからの課題
以上のように、日本企業においては、
外国人と女性とMBAが、十分に活かされていないという
現状をお話しました。企業がますます
グローバルに事業を展開する上で、
これらは制約要因にもなりかねないことを
ご理解頂きたいと思います。
もし競合する企業が、
いち早くその重要性に気がついて、
積極的に活用した場合には、そちらの企業には、
より高い多様性と柔軟性、より多くのチャンスが広がる可能性もあります。
現在、3期生、4期生が勉強している
私達の九州大学ビジネス・スクールでは、
大変に優秀な外国人や女性が何人も在籍しています。
これからも企業の方により評価して頂けるような
優秀な人材を養成していきたいと思います。
ぜひこういったビジネス・プロフェッショナル
としてのMBA達に目を向けて頂きたいと思います。