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2007年04月24日 07:40

企業の国際経営と多国籍化(2) (国際経営/星野)

昨日は、なぜ企業が
大変なリスクをおかしてまで
海外との取引を進めていくのか、
国際経営を行なうのか
ということについて説明をしました。
今日はさらにステップの進んだ形態である
多国籍企業についてお話をしたいと思います。


■多国籍企業の定義
多国籍企業
(マルチナショナル・コーポレーション)
という言葉は、1960年に
アメリカで初めて使われましたが、
「本国に本拠地を持って、
他国の法律の下で事業を行う企業」
と定義されています。


この言葉自体は、
50年ほどの歴史しかないわけですが、
実はこういった企業形態は、
それよりも遙かに長い歴史を持っています。
よく多国籍企業の
初期の例として挙げられるのが、
ミシンのシンガー社と
ピストルで有名なコルト社です。
アメリカ企業の本国的な海外生産として、
1850年代から60年代に
英国に工場を設置しました。


■多国籍企業の例
その後、多国籍企業はより明確に
「海外6カ国以上に製造子会社を有する
アメリカの売上上位500社の企業」
と定義されました。
例えば、アメリカでは、
コカ・コーラやGE、IBMといった企業になりますし、
日本だったらトヨタ、松下電器、SONYなど
多くの企業が思い浮かぶかと思います。


さらに最近では、
多国籍に展開する企業は
製造業だけではありません。
世界中に現地法人を展開する
三菱商事や三井物産などの総合商社も
日本の代表的な多国籍企業ですし、
アメリカのエクソンモービルや、
英国とオランダの合弁会社である
ロイヤルダッチシェルのような巨大石油資本、
最近ではWalmartのような流通企業や
金融資本などにも多国籍企業が出てきています。


■多国籍化の理論
なぜ企業はさらに
多国籍に事業を展開するのでしょうか。
これらの答えとして、
いくつかの代表的な理論があります。


例えば「国際経営資源移転論」
という理論によると、企業は自社が持つ
優れた経営資源をあえて海外に投入し、
他国にある経営資源を効率的に活用することで
優位性を獲得できるのであれば、
現地で事業を行なうことになります。


例えば、石油メジャーといわれる企業が、
中東で石油を開発したり、
天然ガスを世界中で採掘している
ケースを考えると、巨大資本の持つ
資金力、人材、資源開発の技術力を用いて、
天然資源のある国で事業を行なっている
ということで説明がつくかと思います。


「内部化理論」という別の考え方によると、
企業があえて直接投資を行なって
現地で事業を展開するのは、
適切な現地のパートナーを見つけて
取引を行なうことのコストや非効率性などを考えると、
自社の子会社を現地に設立して事業を展開し、
グループ内の取引を行なうことが
より利点がある場合に選択されます。


つまり製品を輸出して
現地の企業に販売を任せるよりも、
自社の販売拠点を現地に構築することにより
事業を拡大するほうが、
より自社にメリットがあることになります。


さらに「折衷理論」
という考え方に基づけば、
企業が所有する優位性を活かせること、
内部化することの優位性、という先の2点に
加えて現地にあえて出て行くことに
どういう利点があるのかを問い、
この3点が全て揃えば企業は現地に進出します。
そうでなければ
輸出によって利益を得ることや、
現地企業への技術供与によってロイヤリティを
受けるという選択肢もあるわけです。


■グローバルな事業展開にあたっての判断
このように企業が
グローバルに事業展開していくということは
中途半端な形では決してできません。
それには、自社が持つ経営資源
あるいは戦略というものが、
本当に現地で有効に活用できるのかどうか
という判断が必要になります。


もちろん現地には
競合他社もいますし、同じように市場を狙う
新規参入企業もあるわけで、
その中で自社の優位性、強みというものが
どこにあって、それが現地でどう活かせるのかを
十分に判断しながら戦略を構築していくことが重要です。


中国などの進出でよく見られる形態ですが、
人件費などの生産コストが低いから
海外に進出するという企業は少なくないかと思います。
しかしながら、自社に
国際経営のノウハウの蓄積がない場合には、
大きな失敗を招くことにもなりかねないのです。

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