2007年06月01日 07:40
福銀と九州親和の統合 (財務/村藤)
福岡銀行と熊本ファミリー銀行を傘下にもつ
「ふくおかフィナンシャルグループ」が
九州親和ホールディングスとの経営統合を発表しました。
ついに来たという感じですね。
■地方銀行の統合
最近、九州では福岡銀行(以下、福銀)と
西日本シティ銀行の間で陣取り合戦が起こっています。
福銀は最初に熊本ファミリー銀行と経営統合を行い、
今度は長崎の九州親和ホールディングスと統合する予定です。
統合時期は1,2年先の話ですが、
この統合によってグループの総資産は11.5兆円となり、
横浜銀行(総資本10.8兆円)を抜いて
地銀ではトップになります。
現在、安倍首相が
渡辺喜美大臣に道州制を検討させています。
九州の経済団体も道州制を考えようとしており、
地銀の統合が進む背景には、
福岡あたりを中心に九州全体が
1つの行政地区になることが
検討され始めたことがあるでしょう。
■九州内での銀行の陣取り合戦
西日本シティ銀行は、
西日本銀行と福岡シティ銀行が統合した後、
大分県の豊和銀行との資本・業務提携を
去年の4月に発表しました。
大分県ということから、
西日本シティの場合は東南に下ってきているといえます。
一方、福岡銀行は熊本県や長崎ですから、
西南に下ってきています。
両銀行とも南下していくモードに入っていて、
まさに陣取り合戦です。次はどこへ行くのか、
最後、鹿児島はどちらに取られるのか。
あるいはその鹿児島銀行や肥後銀行あたりが、
人に取られるのは嫌だと、
自分から陣取り合戦を始める動きもあるかもしれません。
この九州の陣取り合戦は、これからが楽しみという状況です。
■銀行の不良債権処理と経営統合
では、地銀の経営統合の
背景には何があるのでしょうか。
メガバンクは、以前10を超えていたものが、
現在では統合によって3つしか残っていません。
1995年以降100兆円近く民間金融機関で
不良債権を処理するうちに、
銀行の数が減ってきたわけです。
一方、地銀は、統合より先に
バブル崩壊後の不良債権を処理する必要がありました。
地銀の不良債権処理はメガバンクに比べると遅れています。
メガバンクは、グローバルバンクとして
国際業務をやらなければならないので、
自己資本比率は8%持たなければいけません。
地銀は、国内だけで業務をする場合でも
自己資本比率は4%以上持つ必要があります。
不良債権の処理をすると自己資本が減少しますが、
自己資本比率が4%を切ると
金融庁のいいなりにならなければいけません。
不良債権処理の要請と自己資本比率維持の要請の
バランスをとる必要があったわけです。
そして今、不良債権の処理が一区切りつき、
自己資本比率が維持できる見通しが付いたところから、
統合の流れが起きています。
メガバンクだけでなく、
地銀でもこれから統合が始まるといえます。
もし、不良債権処理の終わらない銀行と
経営統合をした場合は、自分の銀行が
自己資本の投入をして不良債権処理をすることになります。
これは自分の自己資本比率を悪化させますから、
銀行は統合したいとはやる気持ちと、
そうはいっても自分の銀行が死んでは困るという
気持ちのバランスを取る必要があります。
西日本シティーは、自分自身が
まず国から優先株の形で投入されている
350億円の公的資金を
今年度中に返済しなければなりません。
西日本シティ銀行が統合予定の
大分の豊和銀行は、2006年3月には
自己資本比率は2.9%まで落ち込んでいました。
西日本シティーの思い通り、
10月に金融庁から公的資金を受けて
自己資本比率が改善したため、
西日本シティ銀行は豊和銀行の提携を進められそうです。
■統合によりサービスはどうなるか
住民からみれば、
どの銀行が統合するのかということよりも、
統合によってサービスが良くなるのか
悪くなるのかということが問題です。
サービスが悪くなれば客は逃げてしまうので、
銀行にその選択肢はないのですが、
寡占状況になれば、
サービスの低下が起こることもありえます。
メガバンクの支店に行くと
今までより長く順番待ちをしなければならなくなった
という声はすでにありますね。
一方で、この10月には
郵政公社の民営化が行われます。
郵便局という銀行の代わりにお金を預けにいくところ、
この公的金融機関が市場に参戦することになります。
地銀の統合が進む背景には
郵政公社の民営化による競争激化の見通しもあるでしょう。
■今後の九州
今までの九州では、
福岡の一極集中が進み、
他県の経済状況は苦しくなってきています。
福岡以外にも熊本や鹿児島は
まだ力があるかもしれませんが、
全体的な力で考えればやはり福岡県が
一歩先を行っている状況です。
道州制が導入されれば、
福岡を中心としたひとつの
ブロックになる可能性が高いでしょう。
元々地銀は、江戸時代の
幕藩体制を引きずっています。
都道府県より狭い地域で一国一城の主という
意識もあるかもしれません。
しかし、今では企業やお客が
その中に留まってはいてくれません。
昔は一国の中で市場経済が成り立っていれば、
その封建諸国がルールを全て決められましたが、
今は企業や顧客の活動が広域化しているので、
より広いエリアでなければ統治できない状況です。
ある意味、道州制の流れは
避けられないのかもしれません。
最近では、安倍さんが任命した
佐田大臣が消えてしまって渡辺大臣に変わりました。
渡辺大臣は、これまで公務員改革に
取り組んでいましたが、
天下り問題に一区切りついたら、次は
道州制あたりを盛り上げようとするかもしれません。
面白くなると思いますよ。