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2006年06月23日 08:20

日銀の金融緩和規制解除 (村藤/財務)

今回は一般に非常に分かりにくい、
日銀の金融緩和解除についてお話ししていきたいと思います。


■ 「量的緩和」とその目的とは?

日銀は3月に量的緩和の解除を宣言しました。
これは、量的緩和という政策を終了することを意味しますが、
そもそも量的緩和とは何なのでしょうか。


日銀が国債を購入すると、
日銀によって支払われたお金がマーケットに入ります。
すると、各銀行がたくさんお金を持っている状態になります。
(民間銀行の日銀における当座預金残高が増加する。)
換言すると、銀行はお金でじゃぶじゃぶの状態になるわけです。
平たく言えばこれが「量的緩和」です。


銀行をお金でじゃぶじゃぶの状態にしておけば、
不良債権処理で自己資本が無くなっても
マネーマーケットで資金調達できないことがなくなり、
銀行は簡単にはつぶれないだろうということで
量的緩和を行ってきたわけです。
これが量的緩和政策における日銀のひとつの目的です。


■「量的緩和の解除」とは、具体的には日銀が国債を売却することを意味する

しかし、そろそろデフレ脱却も近いということで,
日銀が今までのようなじゃぶじゃぶ政策をやめる、
つまり「量的緩和政策」を解除すると言ったわけです。


これは具体的には、今までは国債を購入していたけれど、
今後は国債を売却しますということを意味します。
すると、日銀は売却代金を受け取ることになりますから、
お金がマーケットから日銀に戻ってくることになります。
(民間銀行の日銀における当座預金残高が減少する。)


■ 日銀が国債を売るとどうなるのか?

日銀が国債を買っていたという状態から
売る状態へ移るということは、
どういう状況を引き起こすのでしょうか?


政府は歳入で賄いきれない部分について資金調達が必要で、
このために国債を発行しています。
これまでは不良債権処理に一区切り付いて
自己資本比率維持のために
国債を持たなくても良くなった民間の金融機関や
縮小中の財政投融資などが国債を売っていたわけですが、
さらに日銀までが売却を始めると、
みんなが国債を売ることになります。


政府は資金調達を行わなければなりませんから、
国債を売るために金利を上げなければならなくなってしまいます。
つまり、日銀が国債を売ると金利が上昇する可能性が高いのです。


ちなみに、この金利の上昇というものは、
預金者、つまりお金の貸し手である家計にとっては1つのいい話です。
これまでは銀行にお金を預けても、
ほとんど目に見えないような0.01%という金利しか貰えなかったのが、
金利上昇によって利子を1%,2%,3%貰えるようになります。
すなわち、家計にとっては
金融資産のリターンが上昇するという嬉しい話になります。


しかし、お金の借り手である企業にとっては
あまりいい話ではありません。
金利が上がりすぎると、
事業会社がいくら商売の本業をやっても
銀行に金利が返せなくなります。
従って、行き過ぎた金利上昇は望ましいものではありません。


■ 政府の逆転の要請

政府としてみれば、
誰も国債を買ってくれないと資金調達が出来ません。
したがって、政府から日銀に対して、
国債をあまり売るな、買ってくれという、
逆転の要請が出てくるかも知れません。


このように、
政府は日銀が金融緩和解除して国債を売るのはいいけど、
政府にお金が足りないときに
国債を買ってくれるのかということを心配しています。
政府は金利上昇で景気が悪化することも心配で、
金利を正常化したい日銀との間には火花が散っている状態なのです。


■ 日銀が再び国債を買うとどうなるのか?

政府の要請を受け、
日銀が国債を売るのをやめて再び買うとなってくると、
当座預金を増やせない状況では、
通貨を発行して国債を買わなければならなくなります。
(日銀は日本で唯一通貨を発行できる機関なので、
輪転機をまわして通貨を発行しながら
国債をどんどん買っていくということになります。)


デフレ要因が消えたところで
必要以上にお金がどんどん出まわるとインフレになります。
インフレになると、
せっかく金利が上がってきたと喜んでいるのに、
あっという間に国民の持っている
資産の価値が無くなって困ることになるのです。


■ 行き過ぎた金利上昇もインフレも問題

つまり、日銀が国債を売ることによって
金利が上がりすぎるのも困るし、
国債を買うことによってインフレになるのも困るのです。


日銀としては、
少し金利を上げたいけれど、たくさんは上げたくないし、
一方で中央銀行としてインフレは困るわけです。
従って、これからどうやって舵取りをしていくかということが
問題になってくるわけです。


■ 個人金融資産における低金利の問題

ところで、日本の家計というのは
なんとなくお金持ちと言われています。
実際、新聞などでも個人金融資産1400兆円などと言われています。


しかし、我国には巨額の個人金融資産があるから
大丈夫だというのは嘘です。
というのも、1400兆円のうち400兆円というのは
年金や保険などの金融収益の上がらないもので、
残りの1000兆円の投融資についても、
金融収益は1%もないのです。
2004年は利子収入を中心とする金融収益は
8兆円くらいしかありませんでした。


ところが、330兆円くらい借り入れている有利子負債、
たとえば住宅ローンなどは銀行から借り入れていますから、
これに対して10数兆円もの利子を支払っていることになります。


家計は、お金を銀行に預けても1%も利子を貰えないのに、
銀行からお金を借りると4,5%もの金利を支払わないといけないのです。
なんと、300数十兆円に対する借入金の支払のほうが、
1000兆の金融収益より大きいのです。


ひところの家計の貯蓄は一年あたり40兆円程度あり、
日本の家計はリッチだと言われていましたが、
2004年には8兆円程度にまで減ってきています。
このまま放っておくと家計の貯蓄は無くなってしまうかも知れません。
これは、大変だというだけでは済まないことがらです。


日銀としては国債を売却するとか購入するとかいうのは
金利上昇やインフレを招きかねないし、
政府との対立も招きかねないということで
あまり騒がないで欲しい問題です。
政府と日銀はあきらかに火花を散らして戦っており、
日銀が今後国債をどうするかは、一見難しいものの、
実は家計にとっても影響の大きいウォッチが必要な問題なのです。

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