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2006年06月26日 08:20

造船アイランド九州―船舶の環境対応― (国際経営/星野)

以前、日本は造船大国と呼ばれていましたが,
現在は韓国が世界最大の造船国で,
中国も追い上げてきています。
その中で,今日は九州の造船業の展開と
船舶の環境対応についてお話しをしたいと思います。


■日本そして九州の造船
前回の放送で
自動車生産150万台構想のお話をしたとき,
九州は自動車アイランドであるとか,
シリコンアイランドであるという話をしましたが,
九州は遙か前から造船アイランドであったといえます。
現在,世界の3割の船舶は日本で建造されており,
またその3割は九州で造られています。
つまり大きく捉えると、世界の船の11隻に1隻は
九州で建造されていることになります。

先日,九州経済産業局から
発表された資料によれば,昨年の日本の船舶の
受注高(注文を受けた金額)は,
そのトータルが632万総トンと平成に入ってから最大規模となっています。
バブル崩壊直後の1992年と比較すると3倍の規模です。
632万総トンというとなかなか想像できませませんが,
実際にどういう船が九州で造られているかというと,
石炭や穀物などを輸送するバラ積みの「貨物船」,
自動車を輸送する「自動車専用船」,
「タンカー」などの注文が大幅に増加しています。


■受注増加の理由 ―中国での船舶不足―
日本での受注増加の背景には,
大きく2つの理由があるように思います。
ひとつはかつて資源の輸出国であった中国が
今や資源や穀物を海外から大量に輸入しているためです。
そのために中国での船舶の需要が供給より大幅に上回っている。
簡単に言うと,中国関連貨物で
船舶が不足していることが1つ目の理由です。

■受注増加の理由 ―船舶による海洋汚染―
もうひとつは,タンカー事故による海洋汚染を防止すべく,
今年の4月以降に新しく造られるタンカーには
ダブルハル(二重船殻)つまりは二重底であることが
義務づけられたことがあります。
原油を5千トン以上積める原油タンカー全てに,
法律の遵守が義務づけられため,
直前の駆け込み需要が一気に高まったと言えます。

このダブルハルタンカーの義務付けは,
直接的には2002年にスペイン沖で
発生したプレステージ号の船舶事故がきっかけとなっています。
かつてはアラスカで起きたエクソン・バルディーズ号の事故,
日本ではナホトカ号の事故で日本海の海岸や生物に
大変な影響があったことは記憶に新しいと思います。
一度,石油漏れが起きるとその被害は甚大です。
そのため,二重底にすることで
原油の流出を最大限に防ごうとしています。


■船舶をとりまく環境問題
世界には軍艦を除いて
9万隻以上の商船が航行しており,
今,それらの船舶には様々な環境対応が求められています。
先述の油濁防止のダブルハルタンカー,
燃料の重油による大気汚染の防止,
船舶の重心を安定させるバラスト水の排出規制などです。
このバラスト水とは,貨物を積む前に
船が空の状態だと重心が上がって安定しないため,
船を安定させる目的で船底に貯める海水のことです。
貨物のない出航時に海水を貯め込み,
目的地で貨物を積むときに排水します。
このバラスト水の排水によって,
その海域には生息しない水中生物が排出されて、
生態系を狂わせます。

もちろん世界の海は繋がっています。
しかし,例えばタスマニアの海域であれば
南半球の特有な生態系があり,
日本の紙の原料を運ぶチップ船が,
現地でバラスト水を排水すると
異質の海中生物が現地の自然を荒らすことになります。
世界の海を自由に航行する船舶だからこそ,
京都議定書に沿った大気汚染防止や
海洋汚染防止ということが大きな課題になるわけです。

造船は,好不況が激しいものではあります。
その中で,船舶の環境意識の高まりは,
実は九州にある大小50を超える造船所の追い風になっているといえます。

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