2007年07月03日 07:40
説得とは (マーケティング/出頭先生)
前回は、第1回目という事で、
マーケティングの定義についてお話しました。
私の定義では、マーケティングというのは、
マーケットを説得することです。
これはコミュニケーションからみたマーケティングの定義といえます。
また、「説得」には、それをする相手によって
色々なケースが考えられますが、
いかなる場合でも、結局、言葉を使ってなされる、
言葉の力でなされるという点では共通です。
今日はこの「説得」ということについて
更に詳しく話をしたいと思います。
■言葉の機能とは
説得は必ず言葉を媒介にします。
それでは、言葉とは何だろうかということが問題になります。
結論を先に言いますと、
言葉には次の二つの機能があると思われます。
一つ目は、考える道具としての機能です。
頭の中で考える道具としての言葉が考えられます。
二つ目は、人と会話をする、
コミュニケーションの道具としての機能です。
我々が、頭の中で考えている事というのは、
ボヤーっとしたイメージだったり、
アイデアだったり、
輪郭というのがハッキリしない全体像として存在しています。
それはアイデアといってもいいし、
知覚といってもいいし、
イメージといってもいいですが、
そういう区切りもない、
輪郭もハッキリしていない頭の中のものを、
言葉によって整理し、組み立てるわけです。
考えというのは、
そうして組み立てたものとして出てきます。
頭の中のものというのは、夢などもそうですが、
一連のものであって、
これを解釈するには言葉が必要になってきます。
例えば、自分が見た夢を、人に伝えるときには、
言葉で伝えることになります。
これは言葉をつかって解釈しているということです。
でも夢自体は、実際は、
ボヤーッとしたイメージの連続で、
時系列的にも混乱したものだったりするわけです。
輪郭や区切りのハッキリしていない、
頭の中にあるアイデアやイメージといわれるような全体像を
言葉によって整理する。
これは言葉の機能といっていいでしょう。
このように考える道具として言葉を使うのです。
それから、その考えを他人と共有(シェア)するためにも、
また、言葉を使うということになります。
アイデアやイメージを、頭で整理、言葉で整理した上に、
さらに、言葉を使って、その考えをシェアします。
言葉は考える道具であり、
また同時に、表現し、他者とアイデアや考えを
シェアする道具でもあります。
言葉の持つこの二つの機能というのは
どんな時代でもこうだったし、
メディアがどんなふうに変わろうとも、
おそらく何万年後においても、
人類が生きているならば、
言葉の機能というのは
こういうものだろうと思います。
■言葉の特徴と限界
どんな地域でも、言葉が全く違うのに、人が理解し合える。
あるいは、翻訳が可能であるというのは、
頭の中で考えていることが、
言葉を介してシェアできるということでしょう。
そういう意味では、頭の中で考えていることというのは、
比較的、普遍的なものなのではないでしょうか。
だからこそ、
地域を越えても喋れるし、伝えられるのです。
でも、そこには
その普遍的なものを
部分的なものしか捉えられない「言葉」で頭の中で整理して、そしてそれを使って表現している
という言葉の機能のダブルエッヂ(両刃)という事があって、
そこに言葉の特徴もあれば、
限界も出てくるという事なのです。
ちょっと話はそれますが、
最近は特に、
コミュニケーション不足だとか、
言葉のやりとりの不足という中から
社会問題となりうることが
起こってくる事があるようです。
そういうことが起こるたびに、
言葉の力が十分に使われていないと感じます。
これは、どういうことかというと
言葉は使っているのだけれど、
上述した言葉の特徴と限界というものが
しっかり理解されないまま使われているので、
十全のコミュニケーションが出来ていないということが、
起きているのではないかと思います。
■言葉は部分しか捉えられない
これは次回に続く話になるかも知れませんが、
言葉というのは、結局、
部分部分を捉えるものです。
よくニュースなどで文字のテロップが出てきますね。
あれは中でも特徴的ですが、
言葉は部分部分で流れてきていて、
ある組み合わせである全体像を
伝えようとしているわけです。
そこでの言葉というのは
その部分しか捉えられない、
なおかつ時間の流れに乗っているという事です。
これは本当に使うのが難しいと思います。
特にラジオなどでは、
今丁度、ラジオのスイッチをつけて、
話を部分的に聞いた方は、
「ん?何の話?」と感じるかも知れません。
それが言葉というものと絵画等の違うところです。
絵画は一瞬のうちにあるものを見ます。
また音楽は時間的に流れるものですが、
モーツアルトのような天才が音楽を作るときには
音楽が一瞬のうちに、
絵のように頭に浮かんだと言われています。
このような特別な人は別ですが、
我々の多くは
頭のなかにあるハッキリしないモヤッとしたアイデアやイメージを
部分しか捉えられない言葉を使って
シェアしているということになっています。
これが言葉の特徴で、
部分しか捉えられないということです。
■全体像をどうやって伝えるか
だけれども、我々の考えは、
ある種の全体像として存在しています。
部分しか捉えられない言葉で、
どうやって全体を伝えるのかということが、
マーケティングの非常に重要な事柄に
なっていくわけです。
これは、ちょっと忘れられがちだけれども、
本当に基本の基本というところでしょうか。
ユーザーに訴えていくためには、
やはり一部分ではなく、
全体をしっかり捉えられる様な言葉で
伝えるということが重要になってきます。
その辺のお話は、また次回以降
詳しくお話して参りたいと思っております。