BBIQモーニングビジネススクール > サブプライム問題の広がり(財務戦略/村藤)

2007年11月16日 08:00

サブプライム問題の広がり(財務戦略/村藤)

■損失の拡大
今回は影響がいまだに広がり続けている
サブプライムローン問題について、
これまでの経緯を振り返り、
今後どうなっていくのかについて
お話したいと思います。
以前にもサブプライムとは何かというお話をしましたが、
これに関しては毎週毎週新しい記事が
続々と出てきています。
どうも、これまでに隠していた損が、
だんだん発覚し、
世界中に損が広がってきているようです。
最初は全体の損失見込みが5兆円から
大きくても10兆円程度だろうといっていたものが、
先日のIMFの発表によりますと
20兆円位やられたのではないかということになっています。
世界中のどこで、どういう損が出てくるのかわからない
という広がりを見せてきています。


■日本への影響
日本も当初は、結構楽観視していましたが、
日本でも驚きの損失が次々に発覚してきています。
特に、強いところが結構やられています。
例えば、野村だとか、みずほだとか、
割と日本の金融機関としては強いところがやられています。
普通の金融機関はアメリカ住宅ローンの証券化市場に
参加もしていなかったので、
実はあまりやられなかったようです。
アメリカの不動産証券化を、
自分でやっていた野村證券は、
最初700億円損したと発表していましたが、
それが一部分だった事がわかって、
実はその2倍の1,400億円位やられた
ということが明るみに出ました。


■サブプライム問題の発端
そもそもこの一件がどう始まったかを、
簡単にちょっと振り返っておきましょう。
全体としては、アメリカの住宅市場に
バブルが発生していたのがきっかけでした。
住宅がどんどん値上がりする中で、
プライムローンという安い金利で借りられる人だけではなくて、
本当は危ないのだけれど、まぁいいかということで、
低所得者向けにハイリスクハイリターンのローンを
貸してしまいました。
これをサブプライムローンというわけです。
ところが、低所得者が債務不履行をどんどん起こし始めて、
ちょっと危ないのではないかという話が起こると、
その春くらいに住宅金融の大手、
特にサブプライムのローン大手が潰れ始めました。
ピープルズ・チョイス・ホーム・ローンとか、
ニューセンチュリー・フィナンシャルあたりが破産申請を行い、
ちょっとキナ臭くなってきたわけです。


7月にムーディーズやS&Pが、
不動産の証券化によって発行された証券の格付けを
一気に下げました。
格付けを下げると証券の値段が下がってしまいますから、
証券化証券を持っていたファンドは大変な損を蒙りました。
アセットバック・コマーシャルペーパーというマーケットでは、
これは巨大なマーケットなのですが、
誰もCPを買わなくなってしまいました。
その結果、そこで資金調達していた金融機関が
資金調達をできなくなるというような話になり、
多くの金融機関があわて始めました。


■世界の金融当局への影響
特に世界中をびっくりさせたのが、
BNP・パリバ(BNP Paribas)というフランス最大の銀行です。
ここがサブプライムローンを組み込んだファンドを
3つ持っていたのですが、
そのファンドに投資した人たちが、
怖いからお金を返してくれと言ったところ、
悪いけど解約はさせないと、
突然、BNP・パリバが発表したというのです。
BNP・パリバというのは、
欧州の銀行がどんどん合併した中でも
最大の銀行の1つですから、
みんな大きな衝撃を受けました。
ヨーロッパには、
ECB(European Central Bank)という中央銀行があるのですが、
ここがちょっとまずいぞということで、
資金調達できない金融機関があったら
4%でお金を貸してやると言ったところ、
あっという間に15兆円くらい引き出されたということで、
そんなに大変なのかといってみんなさらに慌てました。


その話を聞いたFRB(Federal Reserve Bank)という
アメリカの中央銀行が、
やはり、10兆円くらいお金をつぎ込んで、
資金調達できない金融機関を助けに入りました。
ヨーロッパもアメリカも15兆円、
10兆円といった大金をつぎ込んでいるという話を聞いて、
本当は金利を上げようと思ってタイミングを待っていた日銀も、
慌てて公開市場操作を通じて
お金をマーケットにつぎ込みました。
このようにグローバルに、
とりあえず中央銀行が自分の傘下の金融機関が潰れないように
お金をつぎ込んで支えるという状況になっています。
あの時点ではいったん日本の東京株式市場も下げが止まって
ちょっと安定感があったのですが、
その後から少しずつ少しずつ下がってきている
という感じがあります。
規模の違いがありますけども、
5%、10%くらい、全世界で株式市場は下がってしまったので、
アメリカのFRBも困ってしまって、
これはまずいという事で、
ここのところ金利の下げに入ってきています。


■日本の外貨準備への影響
ここで、みんなはあまり気がついていないようですが、
実は大変だったのは円高の政府外貨準備に与えた影響です。
円ドル相場が、1ドルあたり119円くらいだったのが
111円くらいまで円高になりました。
国民にはあまり知られていませんが、
日本政府は、円高を回避して輸出企業を助けるために、
日本のお金100兆円以上を使って、
ドル国債を買っています。
円ドル相場が119円だったら116兆円くらいの規模で、
これが111円の円高になると
9兆円くらいの損が出てしまいます。
また、114円だと5兆円くらいの損です。
いまは大体114円くらいまで戻ってきているので、
5兆円くらいやられているわけです。
一時は10兆円くらい損が出ていました。
そういう意味では、本当は円安のときに
外貨準備を減らしておけばよかったのに、
円高になってしまったので、
過剰な国債発行で山のように有利子負債がある状況の下で、
政府は円高のせいで大損をしつつあるわけです。


■大手金融機関への影響
世界同時株安といわれるほど株価が下がったわけですが、
その他も住宅ローン関連業者はもちろん、
大手金融機関もかなりやられました。
銀行トップのシティバンク・グループだとか、
あるいは大手投資銀行のメリルリンチとかが
かなりやられました。
メリルリンチでは1兆円近くやられて、
CEOだったスタンレー・オニール(Stanley O’Neal)が
責任を取って辞任するということを発表しました。
また、シティバンクも7,000億円くらいやられて、
投資銀行部門のトップが辞任することで、
事を済ませようとしているのですが、
チャールズ・プリンス(Charles Prince)というCEOにも
責任があると非難されています。


■今後の見通し
今後の見通しですが、
事態の沈静化にはかなり時間がかかりそうな気配です。
住宅市場が回復するのは
来年の半ばくらいまでにはなるだろうといわれています。
住宅ローン全体で10兆ドル、
1,000兆円くらいあるのですが、
サブプライムローンの残高が、
全部で1.3兆ドルと百数十兆円あります。
RMBS(Residential Mortgage Backed Securities)と言って、
サブプライムやプライムローンなど、
不動産ローンを組み込んだ住宅ローンの証券化市場というのは
アメリカ国債の市場よりも大きいのです。
今回は、それに火が着いてしまったということで、
実は世界中の金融機関がみんなで投資していたわけですから、
みんながやられているという状況です。
これからどうなるのか、
まだ隠している損失が
これからぼろぼろ出てくるということが、
来年の半ばくらいまで続くかも知れないという状況です。

サブプライム問題の広がり(財務戦略/村藤)MP3ダウンロード

前の記事へ 次の記事へ


ブログ&ポッドキャスト検索

ページの先頭へ戻る