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2007年11月26日 08:00

中国のベンチャー事情(1)(ベンチャー企業/五十嵐)

今日は
中国のベンチャー事情についてお話しします。
先日、北京と天津に企業調査に
行ってまいりましたので、
今日から数回、
そのお話をさせていただきたいと思います。


■ビジネスインキュベータ
まず一回目は北京についてです。
以前にも、ビジネスインキュベータという
話をしたかもしれませんが、
設立したばかりの企業を
入居させることによって
成長を加速させて施設あるいは仕組みを、
ビジネスインキュベータといいます。
表面的には低額の不動産賃貸業に見えるのですが、
技術を持ったベンチャー企業の集積を人為的に高め、
相乗効果を発揮できる土台を作り上げたり、
弁護士さん、会計士などが専門家を組織化して
成長支援に協力してもらったりすることで
起業直後の倒産のリスクを下げ、
企業の成長を加速することが主な役割です。
福岡にも、百道の
福岡システムLSI総合開発センターや
福岡ソフトリサーチパークを始め
いくつかのビジネスインキュベータがあります。


■精華大学のビジネスインキュベータ
北京には、
中国の理系大学で
最高といわれる精華大学があるのですが、
今日は、精華大学が作った
インキュベータの話をします。


まず、精華大学は、
北京の北西部に広がっている
中関村と言ったところにあります。
ここは、本当に多くの大学や中央研究所が集積しています。
ちょうど、首都圏で言えば、
山手線の左上に筑波の研究機関・大学を
そっくり持ってきたイメージでしょうか?


実は中関村には、
「中関村」という地域で運営されている
ビジネスインキュベータを持っています。
これは、地域の産業の貢献を目的としています。
それとは別に、精華科技は精華大学で培った科学技術を
民間転用し、事業化を目指すことだけを目的とする
インキュベータです。


先ほど、中関村を東京の中の”つくば”と表現したので、
精華科技を身近なものに例えると、
精華大学の門から200メートル位のところに、
そっくり福岡の百道をビル郡を移設したようなイメージで、
高層ビルが8~10棟とあります。
その内4棟が隣り合って並んでいるのですが、
1つは、サンマイクロシステムズ、
もう1つはマイクロソフト、
もう1つは、googleの開発部隊が
入居しています。


これら米系企業が
何を期待しているかと言えば、
精華大学という中国随一の理系の学生に、
自社の研究開発を担わせたいのです。


一方、精華大学の
ビジネスインキュベータそのものも、
高層ビルを数棟並べて、その建物を使って、
積極的に新たに創業した
技術系ベンチャーの育成を目標としており、
このような新興企業群が、
マイクロソフトやgoogleなどに直接
技術あるいはビジネスの交流が出来る機会を
作ることが目的で、積極的に
外資系ハイテク企業を誘致しています。


日本にも同様の発想はありますが、
二回りくらいスケールが違いますね。


この精華科技のインキュベータの
入居ベンチャーを業種別で見てみると、
インフォメーションテクノロジー(IT)過半数で、
次いでバイオテクノロジー、素材関係が多いようです。


また、育成のためにはお金も必要だと言うことで、
自分達である程度自由に
投資できるだけのファンドも持っています。
さらに、成長のあかつきには、
海外の投資家も呼び込むことを最初から想定しています。
シリコンバレーの有名なベンチャーキャピタルはほとんど、
このインキュベータのサポート企業として名前を連ねています。


これは国策として実施したということもありますが、
むしろ、ベンチャーキャピタルのほうが、
魅力や可能性を感じて、
自ら望んできているという状況の方が強いです。
残念ながら、日本のキャピタルは皆無でした
日本と比較して、20年は進んでいる印象ですね。


数多くのインキュベータの入居企業の中で、
大きく成長し、株式公開を果たした企業は2社あるそうです。
1つはソフトウェア関係で、
IBMに対して、ソフトウェアの
販売を行っている会社です。
それからもう1つは、
紫光電子という電子の加速器の会社です。
皆さんがよく知っているところだと、
空港で金属探知機のレーダーがあります。
そういった会社がもう既に大きくなっており、
ここのチンファーのサイエンスパークの中に
そこの会社だけで3棟、
ビルを建ててしまっています。


■ウミガメ企業
精華大学の卒業生ないし、技術を使って、
約200社が今入居しています。
そのうち、ウミガメ企業と
呼ばれるものがあります。


アメリカを初めとする欧米に、
留学生として渡った学生は、
最先端の技術やスキルを持っています。
彼らが中国に帰ってきて、
起業したものを、ウミガメ企業と言います。


ウミガメは産卵した後、海に帰るので、
腑に落ちずに何故、海亀というか訊ねたところ、
このような状態を帰国の「帰」で海帰、というのが
中国語の正式な言い方らしいのですが、
「帰(キ)」の音は、「亀(キ)」と音と似ているので、
海亀(カイキ)としているようで、それを「ウミガメ」と
呼ぶことにしているらしいです。


先ほど企業の数は約200社と言いましたが、
半分がウミガメ企業で、
積極的に奨励しれいます。
ウミガメ企業の留学先は、
アメリカが73%、カナダが8%、
イギリスが5%、日本は5%です。
九大の医学部を出て、九大にそのままいるよりも、
ビジネスチャンスがあるからといって、
このチンファーのサイエンスパークで
起業している研究者もいます。


ここは精華大学ですから、
天安門から来るまで20分くらいのところで、
都心に対するアクセスも良好です。
日本でも、ビジネスセンターを作ることを企画するのであれば、
都心からのアクセス、ビジネスとしての利便性を保つために
もっと、腹をくくった覚悟が必要になってくると思います。
皆さんも中国に行かれる機会があれば、
ぜひとも天安門のような歴史的遺産をばかりでなく、
新たな取り組みも、是非とも訪ねてみて下さい。
中国の息吹が実感できると思います。


※ 精華科技のホームページ 
http://www.thsp.com.cn/ 
(英語版http://www.thsp.com.cn/english/index.asp )

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