2006年07月17日 08:20
ロジスティクス -福岡のごみ収集から被災地支援まで‐ (ロジスティクス/星野)
■福岡の夜間のゴミ収集
なかなか一般には馴染みのない
ロジスティクスという言葉をご紹介しようと思います。
住んでいるとその素晴らしさに
気がつかないこともあるかと思いますが,
福岡の夜間のゴミ収集は
全国に誇るべきシステムだと思います。
東京の街を歩くと,
毎朝カラスに食い荒らされたビニール袋が
歩道に転がり,この時季は特に不潔で不快に思います。
しかし,福岡の夜間収集であればその心配もありません。
その上,通勤時間帯にゴミ収集車による
交通渋滞も発生しないので,
先進的かつ環境に非常に優しい方法だと思います。
この福岡市の夜間収集の歴史を
ホームページで調べると,驚くことに明治に始まっています。
福岡市がゴミ収集を
民間に委託し始めたのは明治24年で,
この頃の収集は専業者というより
農家や他に職を持つ人だったので,
農作業やそれ以外の仕事を始める早朝に始まりました。
昭和32年くらいから,
いよいよトラックで本格的に収集が始まり,
やはり交通量が少ない深夜に作業することが
最も効率的であることから
夜間収集に移行したという非常に長い歴史があるようです。
■ロジスティクスとは何か
今日,お話する
ロジスティクス(logistics)という言葉は,
「顧客の要求を満たす為に,産地と消費地の間の物,
情報,サービスなどを効果的かつ効率的に管理する方法」と言われています。
最近では新聞などでも注釈が付かないで
取り上げられていますが,おそらく多くの人には,
分かるような,分からないような専門用語だと思います。
ところが,今ご紹介した
福岡市のゴミ収集はまさにロジスティクスの最適な例です。
例えば,家庭や飲食店,企業から
出たゴミを最も効率的に回収し、焼却などにより
処分するにはどのようにすればよいのか。
様々な方法を検討し,最適な方法を立案する。
そのプランに基づいて適切な管理手法を考えながら実行する。
つまり,福岡市内でゴミを最も効率的に回収するには,
収集車の経路,時間帯はどうあるべきか。
誰がどの地域を担当するべきか,
焼却場に収集車が集中しないように
どうダイヤをどう組めばいいのか。
それぞれの町内ではどこで回収すればいいのか。
このようなことを考えて、
実際に実行に移すのがロジスティクスということです。
■始まりは軍事用語 ―戦場での物資の調達と管理の手法―
もともとロジスティクスというのは
軍事用語から来ています。戦場で必要な武器,
弾薬,兵士の食料,衣類などの物資をいかに
調達して最前線に運ぶのか。この管理手法から始まっています。
ナポレオンはロシアの冬に負けたとか,
日本軍が第二次大戦で太平洋の島々や東南アジア,
中国奥地に侵攻した結局,物資の供給が出来ない為に
悲惨な状況に陥ったのは,当時,
ロジスティクスの考えが十分でなかったからでしょう。
また,自衛隊のサマワでの
「後方支援活動」は,英語ではロジスティクスと訳されています。
つまりイラク南部の復興に必要な給水施設や
生活環境を整えるという活動をプランニングして,
必要な資材を調達し,必要な人員を配置し,
そこに施設を建設して運営していくのは
ロジスティクスそのものです。
■被災地でのロジスティクス -必要なものを,必要なときに,必要な場所へ-
もう1つ例をあげるとすれば,
様々な災害の被災地の救援活動,復興支援活動についても、
ロジスティクスが中心的な役割を持っているといえます。
スマトラ沖やニューオリンズなどの各地で,
次々に自然災害が発生していますが,
各国からの初動の援助も重要ですが,
救援と復興に向けて,効率的かつ効果的な
体制を組むことは非常に重要です。
例えば,助けを求める被災地の
人たちに必要な食料や医薬品を供給すること。
被災者を救助する為に,
交通機関を手配して,収容する施設を確保すること。
さらに復興支援に向けて,様々な機器,
材料,資材を調達して現地に送り届けるということ。
さらには、破壊された残骸を回収し破棄する。
これら全てがロジスティクスの活動です。
ロジスティクスという言葉は,
簡単に言えば「必要なものを必要な時に
必要な場所に供給する方法」と言えますが,
実は非常に高度な知識とプランニングが支えています。