2006年07月14日 08:20
S&Pの国債格付け (村藤/財務)
6月8日、S&Pという格付け機関が、
このまま放っておくと
日本の国債の格付けが下がると警告しました。
今回のお話は、
日本の将来が危ないという意味では
前回までのお話の続きになります。
■ 日本の国債、このままではAA-からBBへ
現在、S&Pによる日本の格付けはAA-なのですが、
このまま放っておくとBBに落ちる可能性がある
というレポートを発表し、
日本政府に警鐘を鳴らしました。
日本国債の格付けに関しては、
以前から日本政府と格付け機関との間で
色々ともめていました。
しかし、日本は
ここのところ景気が良くなってきていて
格付けも戻ってきていたので、
なんとなく安心していたふしがあったのです。
そんな中、このまま行くと
日本国債の格付けはBBになると
S&Pが警告したのです。
■ 国債の格付けとは?
海外の大手格付け機関には
ムーディーズとS&Pの2社があります。
債券の格付けとは、
債券の金利元本が
間違いなく払われるかどうかを見るもので、
S&Pやムーディーズが
債券に対して付ける信用度が
どの程度であるかを表しています。
格付けはAAAが一番良くて、
AA、A、BBB、BB、B
と下がっていくのですが、
格付けが下がるにつれ
金利元本が戻ってくるのか
分からなくなっていきます。
尚、AAAからBBBまでは「投資適格」、
BB以下は「投機的格付け」と呼ばれます。
格付けはもう少し細かく分けられていて、
AA以下だとAA+、AA、AA-といった具合に
3段階に分かれています。
ちなみに格付けが1段階下がることを
「1ノッチ(notch)下がる」と言います。
■ S&Pのレポートの意味とその理由
AA-からBBまでを細かく見てみると、
AA-、A+、A、A-、
BBB+、BBB、BBB-、
BB+、BB
と続くわけですから、
日本の国債の格付けが
AA-からBBに下がるということは、
実に7ノッチ以上も下がるということなのです。
BB以下の格付けの債券は
「ジャンクボンド」などと揶揄されます。
S&Pによれば、
日本の国債は持っていても
お金が戻ってくるのかさっぱり分からない、
ゴミみたいなものになるかも知れない
というわけです。
これに対し、
今回も政府が怒っているであろうことは
想像に難くありません。
しかし、S&Pがどのような理由から
このようなレポートを行ったのかということは重要です。
それは、財政投融資と社会保障に対する懸念によります。
■ 財政投融資改革の停滞に対する懸念
小泉さんは、日本国内でこそ
色々と批判されていますが、
郵政民営化や道路公団民営化、
公的金融機関の統廃合などで
財政投融資の改革を行い、
一生懸命に努力をしてきました。
海外ではその頑張りが評価されています。
ところが、その後の安倍さんや福田さん、
あるいは民主党政権が心配されています。
外国には、内閣総理大臣が
小泉さんから誰に代わろうとも、
財政投融資の改革は後退するに決まっている
と見られているのです。
■ 社会保障費の問題に対する懸念
もう1つは、年金、医療、介護などの
社会保障費の問題に対する懸念によります。
毎回言っていることですが、
現在の社会保障制度は
若い世代がお年寄り世代に
お金を投げるというシステムとなっていますから、
少子高齢化が進むと破綻するに決まっています。
しかし、改革をやっているように見せかけて、
実際はほとんどゴミのような変化しかないわけです。
抜本的な改革は全て先送りで現在に至っています。
■ 格付け会社の指摘は真っ当
S&Pは、このまま財政投融資を縮小出来ず、
社会保障の抜本的な改革が出来ないと、
日本国債はジャンクボンドになる
と警告しているわけです。
かつて、S&Pやムーディーズによって、
日本国債はボツワナという
アフリカの国の国債と
その良し悪しを比較されました。
その際、財務省は
どうしてボツワナと比較されるのだと
ひどく怒っていました。
しかし、ボツワナは
ダイアモンドの鉱山があって、
国家としては大変裕福なのです。
ですから、ボツワナと比較して
いいか悪いかということを
問題視することについては疑問で、
日本としては、そもそもどうすべきなのか
ということこそが重要な問題なのです。
今回のレポートに対し、
財務省は怒っているかも知れません。
しかし、2002年にムーディーズが
日本国債をボツワナ国債より低く格付けしたことや、
今回S&Pが財政投融資の改革や
社会福祉などの問題を指摘したことは至極真っ当で、
実は当然のことを外部から指摘されているのです。
それを無視して放っておくと、
いつか日本国債がジャンクボンドになってしまう
悲しい日が訪れるかも知れません。
日本政府は、怒っているより、
やらなければいけないことに
取り組んでいったほうがよいのではないでしょうか。