2008年03月10日 08:00
コンテナリゼーション (国際経営・国際ロジスティクス/星野)
今回は、国際経営とロジスティクスを
融合したトピックを取り上げます。
現在、「国」という枠組みを超えて、
グローバル・ビジネスが
可能になってきていますが、
これを可能にした促進要因として、
コンテナリゼーションについてお話します。
■コンテナリゼーションとサプライ・チェーン
1月の上海市港口管理局の発表によると、
2007年の上海港のコンテナの取扱量が、
シンガポールに次いで
世界で2番になったとのことです。
その量は、全長6メートルの小型コンテナに
換算して、年間2,615万本になります。
上海は、近年の巨額な投資によって
洋上に港湾施設を開発した結果、
まさに世界の市場の
ゲートウェイになったといえます。
2,790万本でかろうじて首位を守った
シンガポールを抜き、
上海港が世界最大のコンテナ港になるのは
時間の問題かもしれません。
人件費などの
コストの低い地域で部品を生産し、
それを別の国で使って製品の組み立てを行い、
主要な世界の市場に商品を出荷することは、
企業の活動として一般的になっています。
以前にもご紹介したこの一連の流れは、
供給連鎖=サプライ・チェーンと呼ばれています。
また、世界のどこかで収穫された
農作物や水産品が、家庭の食卓に並ぶことも
当たり前になっていますが、考えてみれば、
それは非常に不思議なことではないでしょうか。
こうしたサプライ・チェーンを
可能にしているコンテナ輸送は、
20世紀のロジスティクスの分野における
最大のイノベーションといえるでしょう。
コンテナという規格化された箱を使った
貨物の輸送、あるいは輸送の動きを
コンテナリゼーションと呼びます。
このシステムを使うことにより、
距離を意識することなく、
安全、確実、安定的に
貨物を輸送することができるのです。
■コンテナリゼーションの有用性
箱に入れて物を運ぶという発想は、
非常に単純なように思えますが、
実はコンテナリゼーションの歴史は
まだ50年ほどしかありません。
もちろん、船で貨物を運ぶ
海上輸送自体は長い歴史を持ちますし、
スティール製の箱を用いて貨物を運ぶことは、
1920年代からアメリカの鉄道などで
行われていたようです。
しかし、本格的なコンテナリゼーションの幕開けは、
1950年代後半です。
頑丈かつ密閉性の高いコンテナが開発され、
その大きさが全長20フィート=6メートルと
40フィート=12メートルのサイズに
標準化されたときに、
この輸送方法が単に便利なだけではなく、
様々な輸送機関の間での互換性や
ビジネスとしての拡張性を持つことになりました。
つまり、標準化されたサイズに合わせて、
トラック、船、はしけ、列車、航空機に搭載し、
さらにそれぞれに積み替えることで、
出発地から最終目的地まで
貨物を輸送することが可能になりました。
現在では、コンテナ船以外の船舶を使って、
定期航路で電気製品や生鮮品が
輸送されることを想像することは
簡単ではありませんが、
従来の製品のトレードが在来船と呼ばれる
一般の貨物船で運ばれる場合と比較すると、
コンテナリゼーションの有用性が明確になります。
一般の貨物船では、船内の大きな倉庫に、
クレーンで貨物を一つ一つ積み込みます。
雨や悪天候の中では貨物が濡れてしまうため、
作業を中断しなければなりません。
そうなると、
港に入港した貨物船がどのくらいの時間で
貨物の積み降ろし作業を終えて出航できるのか、
スケジュールが組めないことになります。
当然ながら、目的地の近くで貨物を降ろして、
最終目的地に到着する日時を
特定することができないため、
非常に不安定な状況です。
コンテナ輸送であれば、トータルのスピードも
安定性も格段に向上します。
貨物をクレーンで積み降ろしする際には、
破損を防ぐための厳重な梱包が必要ですし、
それでも破損や雨や海水や湿気の影響を
受ける可能性は、コンテナよりかなり大きくなります。
コンテナに積まれる商品は、
例えば電気製品にしても、
家庭に届けられる梱包そのものの状態ですから、
パッケージの形態や梱包も簡単ですみ
コストも低くなります。
航海中の貨物の損傷の程度にも
大きな違いがあります。
コンテナを使用することで、
リードタイムが大幅に短縮され、
輸送中の貨物の破損や盗難の
可能性も大きく低下し、
関連するコストが大きく下がり、
安定的なスケジュールで
輸送することができます。
そのため、
たとえ長距離の輸送であっても、
信頼のできるサービスとして、
様々な製品などの輸送に利用され、
サプライ・チェーンを担う
重要な役割を持つことになります。
ビジネスのボーダーレス化の方向に向けて、
様々なビジネスが展開されています。
これほどのグローバル・ビジネスを
実現させた最大の促進要因は、
コンテナの利用によるものと考えられます。
コンテナリゼーションがもたらした
具体的な効果については、
次回、改めて取り上げてお話したいと思います。