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2006年07月13日 08:20

国立大も特許で稼ぐ時代 (産学連携/高田)

先日、大学が得た特許収入の金額が新聞に発表されました。
今日はこれにまつわるお話をしていきたいと思います。


■ 大学のロイヤリティ収入 総額6億円を超える

大学は自身の持つ研究成果の使用を許諾し、
企業との間でライセンス契約を結びます。
その際に企業から大学に支払われるのがロイヤリティです。
今年、日本の大学のロイヤリティ収入総額が
はじめて6億円を超えたということで、
新聞等で話題になったわけです。


■ 全国1位は青色発光ダイオード特許をもつ名古屋大学

大学が持っている特許というのは
日本全国でかなりの数にのぼります。
色々な大学が色々な企業にライセンスするわけですが、
そうして得た大学のロイヤリティ収入は
名古屋大学が断トツのトップで約2億円となっています。
名古屋大学は、法人化前から持っていた
青色発光ダイオードの特許で大きな収入を得ているのです。
尚、2位は岩手大学で4800万円。
それから3位は筑波大学で3500万円となっています。

大学-企業間のライセンス契約の動きは
急激に加速しています。
この理由についてはおおきく3つあげられると思います。


■ 我が国の重点的な政策の展開

まず1つ目は、
「科学技術創造立国」というスローガンのもとで
国を上げた取り組みが
少しずつ実を結び始めてきたことです。
過去10年間ほど、日本は
科学技術で生きていくのだという政策目標を掲げ、
政府を中心に色々な取り組みを続けてきました。

また、最近では「知的財産立国」ということで、
小泉さんが首相になってすぐの平成14年に
知的財産基本法という法律が作られました。
日本は科学技術に加えて
知的財産で生きていくのだと明示しましたので、
かなり重点的な政策の展開がなされています。


■ 企業の研究開発環境の変化にともなう産学連携の活発化

2つ目は、
企業の研究開発環境が
大きく変わってしまったことがあると思います。
例えば液晶テレビや携帯電話などが典型例ですが、
製品のサイクルが非常に短く、次から次へと
新しい機能を盛り込んだ新製品が出てくるようになりました。
企業は市場が変化するスピードについていかねばならず、
一見ゆとりがあるように見える大企業でも、
長い時間をかけてじっくり基礎研究を行って
新しい製品を作るということは
財務的になかなか難しくなってきています。

そこで、基礎研究部分については
大学に任せるようになってきたわけです。
新しい技術の種は大学の色々なところにある。
ならば、お金と時間をかけて自社で基礎研究を行うよりは、
むしろ大学で行われている基礎研究とうまく連携し、
ライセンスを受けることによって
その成果を新しい開発に活かしていこうと
企業は考えるように変化してきたわけです。


■ 国立大学の法人化

3つ目は
特に国立大学に関わることなのですが、
大学側に起因するものです。
国立大学は2年前に法人化したことで
財政的に自立を促されるようになりました。
このため、各大学は
独自の収入源を確保する手立てを
いろいろと考え始めました。
そのために必要となる組織を
大学の中に設置する動きが現在相次いでいます。
大学も象牙の塔というわけにはいかなくなってきています。


■ 研究者の倫理の問題

大学の研究成果がおおいに注目されていますが、
そこには問題もあります。
たとえば国の研究資金、
これは元は税金ですが、
研究費として貰った何億円というお金の一部を
自分の蓄財に回しているという話もつい最近ありました。

研究不正の問題もあります。
先日、某大学の教授の研究結果が
全てねつ造ではないかという疑惑が浮上し、
現在調査が行われています。
産学連携がうまくいきかけていますが、
このように研究データが改竄されているということになると、
企業の大学不信にを招いてしまいます。
そうすると、企業からみると、大学はもはや
単なる金食い虫にすぎないと見做されてしまいます。

スポンサーシップという、
たいへん大きなお金を研究委託という形で受け取って
大学で研究するという形の産学連携がありますが、
このような場合、大学の先生側もついつい
企業に都合のいいようなデータを
返してあげたくなるかもしれません。
こういった状況でちょっと魔が差して
改竄してしまうことに至ってしまう恐れもあります。

このような研究者の倫理観の問題は
現在非常に議論されているところですが、
研究者自身、しっかり襟を正して
きちんと対応していかなければならない問題でしょう。


■ 研究者の利益相反の問題

また、近頃は大学発ベンチャーが大きく話題になっていますが、
大学の研究室が大学発ベンチャーから
委託を受けて研究を行う際に、
実は研究者がその大学発ベンチャーの
株式やストックオプションを持っているようなことがあります。
この場合、自分の研究室の成果が
そのまま大学発ベンチャーの収益、
株価のアップに繋がる可能性もあり、
ここにも問題が生じる可能性があります。

こういった問題は産学連携にまつわる
利益相反* のマネジメントということで、
文部科学省も各大学でしっかり
利益相反マネジメントを行って下さい
という通知を出しています。

各大学で具体的なマネジメントを行い、
不正や社会的な信頼を損なうような事態が起きないような活動を、
産学連携の促進と併せて
きちんと行っていかなければなりません。
このような問題に対し、
色々な大学が取り組みをはじめているところです。


<用語説明>

(*)利益相反

    :ある人の持っている2つの異なる役割における利益が
    お互いに相反している状況のことを指す。
    産学連携を考えるにあたっては、
    大学発ベンチャーを起こす研究者が、
    社会全般に奉仕する大学研究のあり方と
    情報や技術を独占することで競争力を保つ
    企業経営のあり方との間で
    「利益相反」的な関係に陥る可能性が高く、
    大学組織内で「利益相反」を管理する
    制度作りが行われている。

   (「産学連携キーワード辞典」より)
    http://www.avice.co.jp/sangaku/skwd0084.html

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