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2006年08月21日 09:20

製品のライフサイクルと生産の海外シフト (国際経営/星野)

■製品のライフサイクルとは何か
 今日は製品のライフサイクルと
製品の海外生産というテーマでお話をします。
まず皆さん,ウォークマンとビデオデッキとフィルム式カメラで,
ご家庭でまだお使いの物ってありますか。
製品には人間と同じように寿命があります。
その寿命というのは,商品自体が壊れて破棄される
という個々の寿命ではなくて,開発された製品が
市場に投入されて,中にはヒット商品になるものがあって,
やがては売れなくなり市場から消え去るという,
そういう製品の一生です。
製品には,まず導入期,それから成長期,
成熟期,衰退期というライフサイクルがあります。


■ブラウン管テレビから液晶テレビへ
 昨年の液晶テレビの出荷台数が,
とうとうブラウン管テレビを抜きました。
液晶テレビが前年比5割増しの449万台出荷されたのに対して,
ブラウン管テレビは340万台とはじめて
液晶テレビが出荷を上回ったそうです。
これは1インチ1万円と言われた液晶テレビの価格が
大幅に下がってきたことや,大型画面や地上デジタル放送に
対応するテレビを顧客が求めた結果かと思います。
今年であれば,いよいよデジタル放送が
本格開始したこと,ワールドカップの開催とで
さらに買い替えが加速されたと思います。


■ブラウン管テレビの価格競争 -海外生産による低価格化-
 そもそもブラウン管テレビは
2001年には海外生産が96%を突破して,
現在ではほとんど海外から輸入されています。
そうするとよく聞くシャープの亀山工場のように,
液晶テレビを例にとれば,技術的に優位性のある製品は
国内で生産するけれども,ブラウン管テレビのような
低価格品や標準化の進んだ商品(コモディティと言われます)は
海外で生産して日本にはむしろ逆輸入する。
そして競争力を高めようというオペレーションが確立されているわけです。


■ライフサイクルにあわせた製品戦略
 それこそ一世を風靡したカセットウォークマンでも,
その後CDウォークマンやMDウォークマンに置き換えられました。
今ではiPodやMP3プレイヤーと言われる
携帯音楽プレイヤーに完全にシフトしています。


 革新的な商品が開発されて
はじめて市場に導入された時には,
どれだけ売れるのか分からない未知の商品です。
この「導入期」は人間の誕生に似ていますね。
やがて顧客に受け入れて一気に生産量が増えて
市場に受け入れられる。これが「成長期」。
まさに人間で言う思春期から青春の時期に当ります。
この頃になると,同じような技術を持った他の会社からも
同様の製品が生産されて,競合関係が出てきます。
そうなると,製品をよりよく改良し競争力を高める,
あるいは少しでも価格を下げて競争を有利に進めようとします。
具体的には生産コストの安い海外での商品生産に
シフトするという方法が出てくるわけです。


 この成長期から「成熟期」に向かうと,
ますます他社との差別化が難しくなります。
先程のウォークマンに変わる商品のように新しい技術を
持った新製品が紹介されてくると,いかに価格を
下げられるかが重要になってくるわけです。
まさに今のブラウン管テレビのおかれた状況だと思います。


 さらにこの状態が進んでいくと
海外のメーカーを中心に後発メーカーが,
価格の安さで市場シェアを高めてくる。
そうすると先行する企業も撤退せざるを得ません。
これが「衰退期」です。日本の家電メーカーも
これから先どのようなタイミングで判断することに
なるのか分かりませんが,ブラウン管テレビの
生産を完全にやめる時期が来るかもしれません。


■ライフサイクルの長さを決めるもの
 家電製品の進歩は著しく,
新しい製品が次々に出てきますが,
それに顧客がついていけるか。これは非常に
大きなファクターだと思います。ブラウン管テレビの例でも,
世界規模で考えれば本当に需要がなくなるのはまだまだ先のことでしょう。


 今日は,人間と同じように製品にも
導入期,成長期,成熟期,そして衰退期の
4つのライフサイクルがあり,企業はその時期に応じた
製品戦略を持っているということをお話しました。
ブランドや技術で売れる時代にはそれで売る。
価格競争の時期になればそれにあったやり方が
あるということです。これは商品のピークの時期である
成長期にいかに魅力を最大化させるかということで,
それは人間にも必要なことかもしれないですね。

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