2006年08月28日 10:00
外資系ホテルの参入と福岡のホテル事情(国際経営/星野)
■東京の2007年問題
東京では今,
外資系高級ホテルの建設ラッシュが起きており,
ホテルの供給過剰が心配されています。
これを2007年問題と呼んでいます。
このように東京では
外資系の高級ホテルがどんどん参入しようとしていますが,
一方福岡には外資系のホテルはほとんどありません。
東京と福岡のホテル事情を対比させながら,
その違いはなぜ生じているのか?
■東京に外資系ホテルが参入する理由
東京に,コンラッド,リッツ・カールトン,
ペニンシュラなどの有名な外資系ホテルが
オープンする理由はどこにあるのでしょうか。
ひとつはバブル崩壊後に
東京の建設コストがかなり安くなっていることがあります。
都心のさまざまな再開発計画があり,
そのコアプロジェクトとしてホテルが誘致されていること,
また政府のビジット・ジャパン・キャンペーンも少なからず関係していると思います。
これらの理由があって,
今東京では外資系ホテルの建設ラッシュが起きていますし,
上海でも世界のほとんど全ての大手のホテルチェーンが見られるほどです。
それにもかかわらず、
福岡には大規模な外資系ホテルの参入計画がありません。
九州に対する外資系企業の直接投資が少ないことは
ホテルでは特にその傾向が強いといえます。
■福岡でのホテルの需要
この30年間で,福岡市を訪問した
観光客の数が最も多かったのは
平成元年(1989年)のアジア太平洋博覧会の年です。
この年,1,680万人が福岡市を訪問していますが。
それ以降,福岡の年間来訪者数はその数字を一度も上回っていません。
福岡市の観光客の動態調査によれば,
福岡市を訪問する人の4割は福岡県内からで,
7割は九州内から訪れているそうです。
そうなると必ず宿泊をする来訪者は,
海外からの来訪者である全体の4%,
関東地方からの8%,近畿からの5%などが中心になります。
それでも,年間宿泊者数は着実に増加しており,
1989年の360万人から,昨年では484万人が市内に宿泊しています。
■福岡のホテルの供給と稼働率
福岡でのホテルの需要は
伸びつつあるといえますが,供給はどうでしょうか。
国内の主要都市におけるホテル客室の推移を見ると,
福岡は首都圏と近畿に次いで多く,
1990年から2001年にかけては,客室数はほぼ倍増しています。
1990年には合計で9,600室だったのですが,
その11年後の2001年には18,300室に倍増しています。
この倍増というのは
国内の主要都市のどこにも例のない増加率です。
そう考えてみると,福岡のホテルは
現時点ではあまり不足する状況にはないといえます。
実際に,2004年の福岡のホテルの稼働率をみると,
66.6%と九州の平均を若干上回っていますが,
全国平均の67%とほぼ等しい数字です。
これは,時期的な集中は別として、
平均的にはそれほど稼働率が高いといえません。
福岡ではコンベンション・シティとして,
スポーツ大会,国際学会などさまざまな
イベントの誘致に力を入れています。
福岡での参加者30人以上のコンベンションの数は,
毎年1,500件前後と,東京,京都,神戸などに
次いで多いのですが,残念ながら宿泊施設の不足を
招くような大幅な需要増にはつながっていません。
■外資系ホテルの3つの参入形態
福岡の外資系ホテルといえば,
グランドハイアット,ハイアット・リージェンシー,
ハイアット・レジデンシャルスイートなどの
ハイアットの名前の冠されたホテルがいくつか有ります。
しかしこれらは地元の資本によるホテルで,
純粋な外資の直接投資によるものではありません。
ホテルの市場参入には3つのパターンがあります。
「所有」,「マネジメント契約」,そして「フランチャイズ」です。
所有とは,
オーナーが自ら資産を保有して運営を行うことです。
マネジメント契約とは,
ホテルの経営管理やマーケティングなどの運営を,
オーナーが契約に基づいて提供を受けて,ホテルを運営することです。
フランチャイズとは,
大手のホテルチェーンと契約を結んだオーナーが,
そのブランドや予約システムを基にホテルを経営することです。
一般の宿泊者であれば,
自分が宿泊するホテルがどの形態をとっているのかは
見分けがつかないですが,東京にある欧米の有名ホテルの
名前の冠された国内ホテルであっても,
実際のオーナーはビール会社だったり,
旅行会社,不動産のディベロッパーなどであったりします。
■都市としての魅力が外資参入を呼ぶ
こう考えてみると,
外資系のホテルチェーンは,
必ずしも自分の判断で投資をするのではなくて,
日本企業に誘致されての新規参入のケースが
非常に多いことになります。つまり,都市としての魅力,
あるいは市場としての魅力や需要がなければ,
なかなか参入も無いということになります。