2006年09月01日 08:20
市場化テスト (村藤/財務)
今日は市場化テストについて。
■ 公共サービス改革法
5月に公共サービス改革法という法律が通り、7月7日の七夕に施行されました。
これは、厳しい財政事情の中、簡素で効率的な政府を実現するために、
公共サービスの受益者である国民の立場に立って、
競争の導入による公共サービスの改革を目指す法律です。
これは、これまで官が行ってきた行政サービスについて、
競争入札(市場化テスト)を行い、官と民でどちらがより効率的か、また、
公共サービスの市場化が可能であるかについて検討し、
可能であると判断されれば市場化を行おうとするものです。
■ 市場化テストの対象事業
先月10日で民間からの意見徴収期間が終了しました。
その結果具体的な対象事業は、今問題になっている社会保険庁関連の3事業、
ハローワーク関連の3事業、それから雇用能力開発機構の2事業など、
これまで厚生労働省が所管していたようなサービスが主となっています。
他に、登記業務と統計調査の2事業などもあります。
■ 厚生労働省の主張
これまで厚生労働省は、民にできるものであっても、社会福祉サービスの供給は官の役割だから、
営利目的の民間企業に任せるわけにはいかないという立場を頑なに維持してきました。
しかし、社会保険庁の不祥事が続発し、厚生労働省はついに
社会保険庁を市場化テストにかけることに同意せざるを得なくなってしまいました。
官だけが携わるのではなく、民に一部を移行すればコスト削減の効果が期待できます。
ですが、これまで厚生労働省は営利目的というものを敵視してきたため、
公共サービスの民間移転には抵抗がありました。
そのため、社会福祉サービスは全て官で行いますと主張してきたのです。
民でもできることを官がすべてやればお金がかかるため、
社会福祉目的のために消費税を上げることが必要になってきます。
うまく民間移転できれば消費税を上げなくて済みます。
今回の対象は限られていますが、本当は年金、医療、介護等
将来はもっと大きな民間移転の可能性もあります。
その意味でも今回の市場化テストは重要な話です。
■ 市場化テストのプロセス
市場化テストのプロセスについてですが、
まずは ひと月くらいかけて、どんなものを市場化テストしたいか
という要望を民間や地方自治体から募りました。
これから内閣で、どういったものをどういう感じでやろうという、
「公共サービス改革基本方針」というものを閣議決定します。
9月くらいに行う予定です。
その方針に従って各省庁が実施要綱を策定します。
そして、実際に官民競争入札を行い、サービスの質と価格を考慮し、
最も優れたものを公共サービスの担い手として選定します。
ここで官が落札したら官がやり続けることになるわけですが、
民が落札すると官に替わって民が公共サービスをやることになるということになります。
(この場合、賄賂を受け取るなどの不正が起こるといけませんから、
多くは「みなし公務員」となることが予定されています。)
入札後に業務を任せる期間は1-3年程度で、
終了後に成果を評価し、民に任せた方が効率的と判断すれば
業務は原則として民間移管か民営化の措置を取る予定となっています。
■ 市場化テストの問題点
実は、今回の市場化テストには、これまで公共サービスを供給してきた官と、
それを行ったことがない民が競争するという点に問題があります。
民にハンディがあるという不公平な競争で、どちらがより効率的かを
明らかにできるのかは疑問です。
そもそも民間より効率的だとしても、民間ができる事業をなぜ税金を使って
官がやらなければならないのかということは非常に疑問視されるところです。
民間移転を促進するひとつの手段としてとりあえず競争させてみるのはよしとしても、
経験を理由に官が勝利して結局官が継続するのならば、市場化テストに意味は見出せません。
ですから、誰が勝敗の決定を行うかということは極めて重要となってきます。
■ 入札の意思決定をする監理委員会
そもそもの目的を鑑みれば、市場化テストには、
民間に移行させるためには民間にできることは民間に移行させる
ヴィジョンが必要であると思われます。
小泉首相や安部官房長官は、このヴィジョンのもと民間から人材を集めたようで、
「入札の意思決定をする監理委員会」を作り、法と経済学会副会長である
東大法学部の落合誠一教授(商法)を委員長とし、
委員長代理には今年解散する産業再生機構の斉藤淳社長を据えました。
政府からは中馬規制改革担当相も担当大臣として参加します。
7月6日までは市場化テスト推進室がありましたが
7月7日から改組されて、官民競争入札監理委員会事務局と、
内閣府の公共サービス改革推進室となりました。
七夕の初会合には安倍内閣官房長官も出席し、
小泉総理の「民間にできることは民間に」という合言葉を強調しました。
市場化テストと公共サービスの民間移転の
今後の行方についてですが、今月で小泉首相の任期が満了します。
ですから小泉さんではなく、ポスト小泉最有力候補の安倍さんが、
これからどれほどリーダーシップを発揮し、公共サービスを民間移転してくれるのか
ということに注目、期待したいところです。