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2006年09月13日 08:20

アジアの都市間競争-外資系企業のビジネス拠点争奪戦激化-(中国ビジネス/永池克明)

近年、アジアの各都市は高度経済成長で非常に元気で、
都市同士の競争が激しくなってきています。

今日は都市間の競争の中でも、
外資系企業が「ビジネスのアジアの中心拠点をどこにするか」という
ビジネス拠点争奪都市間競争が非常に激しくなっていることをお話します。


■アジア拠点を東京から上海、シンガポールへ
まず、外資系の多国籍企業にとっての
アジアのビジネス拠点とは何かということですが、
これは外資系多国籍企業がアジア地域の全体を統括する拠点、
あるいはアジアの地域本部を意味します。

これまでは外資系大企業のアジアの拠点は、
圧倒的に東京に置かれていました。
もしくは、東京に拠点を置いて、
その支社や支店をシンガポールなどに置くという企業が多くありました。

ところが最近は、アジアのビジネス拠点を東京から
上海やシンガポールに移す外資系の企業が増えてきました。


■上海の強み
外資系の企業が中国の上海にアジアの地域本部を設ける狙いは、
何といっても中国には13億人という巨大な市場があることです。
上海がその中心だからです。

それから家庭電器や自動車産業に代表されるように
消費市場が非常に伸びているということ。
また、金融や物流でも上海は香港を追い抜く勢いになっていることもあります。
上海市当局によれば、現在上海に地域本部を置いている
外資系の企業は約130社あるそうですが、
これを2010年までに200社以上に増やすことを目標としています。

また、日本の森ビルが去年、上海に進出した外資系企業に実施した調査によると、
上海をアジアの地域本部にしたいと答えた企業というのが現在は全体の7%ですが、
今後3年間の見通しでは、13%に上昇するという調査結果が出ています。

米国自動車部品大手のデルファイは
年内にアジア太平洋地域本部を東京から上海に移し、
東京の役割は日本の顧客対応が中心になる模様。

スイスに本拠を置くエンジニアリング大手のABBは
今年4月、産業用ロボット部門の世界統括本部を
米デトロイトから上海に移しました。
自動車などの製造業向けロボットの
生産管理から営業までを上海で意思決定する。
理由は欧米や日本市場よりも中国の成長機会に期待しているからです。

また、ドイツのコンチネンタル(ドイツの自動車部品メーカー)や、
アメリカのベストバイ(家電販売店)、ウォルマート・ストアーズなども
今年になって上海にアジア全体の本部を置くことを発表しています。


■シンガポールの強み
一方、シンガポールがアジアの拠点となりつつある理由は、
域内関税の引下げが進むASEAN、
これに加えて最近成長著しいインドのマーケットを睨んで、
その対応が可能な拠点というとことで
シンガポールの人気が多国籍企業の中で高まっています。

ASEANに加盟しているシンガポールの場合、
東南アジア、特にASEAN地域の国々で相互貿易が活発になり、
それら国々での金融決裁が非常に増えていることから「国際拠点」の認可を得て、
インドもにらんで体制を強化するのが目的です。

また、シンガポールは昔から物流の拠点だったことから、
東南アジアやインドに関する情報が多く入ってくる上に、
英語が通じるという利点があります。
これらが外資系企業の中でシンガポールの人気が高まっている理由といえます。


■上海とシンガポールの両都市の躍進の背景
今回、外資系の多国籍企業が、
アジアの拠点を東京から上海やシンガポールへと
移そうとしていることをお話しました。

東京と比べて、上海とシンガポールの両都市が優勢になっている共通の背景には、
英語が通用しやすく欧米的な文化の背景があること、
外国人にとって住みやすい生活環境が整備されていることがあります。

また、上海とシンガポールの両政府が非常に積極的に
企業の支援策や外資の融資策を促進していることも挙げられます。
シンガポールでは2004年度に法人税を20%に引下げ、
アジアでは香港に次ぐ低水準になりました。
また、シンガポール経済開発庁(EDB)から「地域統括本部」の認定を受けると、
法人税はさらに半分以下となる。
認定企業は既に約400社に達しました。


■東京一極集中から多極化の傾向
これまで、アジアの中心といえば東京ということになっていましたが、
最近のアジア・中国の経済的躍進もあり、
また、インドの台頭もあり、アジアの中心が多極化してきたということだと思います。

また、それだけ東京のウエイトが下がってきたともいえます。
生活費、土地、交通料金等々、コストが高いこと、
外国語が通じにくいこと、東南アジアの情報が必ずしも集まりにくいこと、
等々の理由もあると思います。

外国の対日直接投資は近年全く増えていません。何とか手を打つ必要があります。

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