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2006年09月15日 08:20

どうなるフタタの今後 (村藤/財務)

前回、王子製紙の北越製紙に対するTOBの話をしましたが、
先日、衣料業界でもフタタのTOBの話が話題となりました。
王子製紙と北越製紙の事業に比べれば規模は10分の1程度ですが、
九州にとっては地元紳士服チェーンのフタタがターゲットだと言うことで、
非常に注目を集めたと思います。


■ 事の発端

紳士服チェーン2番手のAOKIという会社がありますが、
全てはそのAOKIがフタタに経営統合の提案を行ったことに端を発します。
(尚、AOKIは、フタタの賛同が得られれば、全株取得予定でTOBをかける予定でした。)


この背景には、団塊世代が退職を始める2007年に向け、
紳士服店の生き残り競争が激化してきているということがありました。


これに対し嫌悪感を示したのは、業界4番手のコナカでした。
(けしてフタタが嫌悪感を示したというわけではありません。)
というのも、コナカは2003年にフタタと資本・業務提携を結んだことにより、
約20%の株を保有する筆頭株主となっており、
自らフタタの経営再建を行うつもりだったからです。


つまり、コナカにとってみればAOKIの経営統合提案は
横から茶々を入れられたようなものだったのです。


■ AOKIの提案

AOKIは、紳士服店と共に喫茶店や結婚式場等を経営し、
フタタの不採算店をこれらに転換して店舗閉鎖を最小限に抑えると同時に、
仕入れを共通化して、メーカーとの交渉を有利に進め、
仕入れ価格を下げるという方針を示しました。


はじめは8月14日を解答期限としましたが、14日、フタタに対し
コナカからも提案が出されたため、期限は8月18日に延長されました。


尚、8月16日に、フタタがAOKIの計画に賛同しなかった場合には
敵対的TOB は行わないことを発表しています。


■ コナカの提案

今回コナカは、フタタが増資を求めれば検討し、
必要なら 完全子会社化 も視野に入れるが、
フタタがAOKIのTOBに賛同するならば
対抗TOBは行わないという立場をとりました。


コナカのはじめの提案は、不採算店でも可能な限り紳士服店として継続し、
共同仕入率のアップや出店拡大をはかるというものでした。


コナカとしては、本当は新しいことをあまり言いたくはなく、
色々な案を小出しにしていたのですが、AOKIに勝てるような
提案をせざるをえなくなり、最終的には 株式交換 で完全子会社化、
経営統合することを提案しました。


■ AOKI、コナカにとってのフタタ統合の意味

九州を地盤とするフタタは、約90の店舗を持っています。
それに対し、AOKIは九州には全く店舗を持っておらず、
コナカも3店舗程度しか持っていません。


業界トップは青山商事ですが、九州においても優勢で、
フタタは青息吐息という状況でした。しかし、AOKIとコナカの
両者にとっては、フタタの90店舗は、首位の青山商事を追撃する
上で意味が大きく、両者にとってはまさに垂涎の的でした。


尚、コナカにとっては、統合が実現すれば、売上高と店舗数で
はるやま商事を抜いて、青山商事やAOKIに次ぐ3位に浮上するという
大きな意味もありました。


■ 敵対的TOBによる買収劇ではない

第三者の見方は、王子と北越の時のような敵対的TOBの話が始まるのではないか
というものでしたから、株価はどんどん上がっていきました。


しかし、たとえば、フタタの創業者の義松相談役が、
AOKI社長の青木拡憲氏と親しかったり、義松氏の長男でフタタ社長の孝文氏が、
同じく二世経営者のコナカの社長湖中謙介氏と親しかったり、
あるいは青木拡憲氏はフタタの大株主であったり、
コナカはフタタの筆頭株主であったりという具合に、
フタタはAOKI、コナカのどちらとも非常に深い関係を持っており、
今回のフタタのスタンスはあくまで、
両方の提案を落ち着いて比較検討するというものでした。

また、AOKIにしてもコナカにしても、「フタタ」の名は残し、
現経営陣は続投するという案を提示していました。


つまり、今回の買収劇というのは、敵対的なTOBによるものではありません。
さらに言えば、フタタがコナカ案を受け入れたので、TOB自体開始されませんでした。
その意味でターゲットの北越製紙が嫌がるところに敵対的TOBをかけた王子製紙の場合とは
随分様相が異なっています。


■ 今後のフタタ

AOKI案とコナカ案のうち、フタタは最終的にはコナカ案を選択しましたが、
いずれの案を選ぶにせよ、フタタという名前も経営陣も残るという話でしたから、
少なくとも当面は「フタタ」の名は残っていくことになるでしょうし、
経営陣についても続投されるものと思われます。


もう一点重要なのは業績の改善についてですが、
既述のように、フタタとコナカは2003年から業務提携を行っています。
しかしながら、これまでフタタの業績に目立った改善は見られていないようです。


これまで出来なかったことを、今後本当に出来るのかというのは
やや疑わしいところがあります。ですから、今後、本当に変わっていけるのかどうか
という点については、注意して見ていかなければならないと思います。

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