2006年09月20日 08:20
中国自動車産業三国志 (中国ビジネス/永池克明)
最近の中国の自動車市場は、日本系、欧米系のメーカーだけでなく、
中国の地場の自動車メーカーが力を付けてきてきたことにより、
非常に面白くなってきています。
今日はこれを「中国自動車産業三国志」と銘打ちまして、
市場の展望や日系メーカーの現状や戦略を中心にお話したいと思います。
■拡大する中国の自動車市場
中国での自動車生産台数は非常に伸びており、
今年前半の生産台数は363万台と、前年比29%増になっています。
この台数は同じ時期のドイツのそれを上回っており、
今年は年間でアメリカ、日本についで
第3位になる公算が大きいとみられています。
この急激な伸びの牽引役となっているのは乗用車で、
前年比40%増の260万台が生産されています。
また、販売面をみても、
中国における自動車の販売台数は伸びております。
おそらく今年の販売台数は日本を上回るのではないかと思われます。
■中国における日本の自動車メーカー
トヨタ、日産、ホンダといった日本の有力メーカーは、
中国において押しなべて好調さを維持しています。
まず、トヨタですが、販売台数が前年比60%増と非常に好調です。
特にレイツ(日本名マークX)やカローラ、クラウン、
そしてカムリといった車種が人気を博しています。
また、同社は設備投資も積極的に行っています。
広州に新工場を設置し、そこでの生産能力を
現在の10万台から倍増させる計画をしています。
中国全土では34万台の生産体制を構築することを見込んでいます。
次に日産は、ティーダというセダン車が好調を維持しています。
また、同社もトヨタと同様に広州での生産能力を向上させようとしています。
最後にホンダは、セダンではアコードが、
ミニバンではオデッセイといった車種が好評です。
同社も上の2社と同じように広州での生産能力の拡大を目論んでおり、
53万台を目指して急激に拡大しています。
また、市場の動向を見てみますと、中高級車といわれる、
販売価格が15万元(約210万円)クラスの市場では、
日本車ブームが起きているといわれています。
この価格帯の自動車のランキング上位10車種を見ると、
その半数が日本のメーカーによって占められています。
それらの販売シェアは合計すると55%となっており、
日本のメーカーが欧米や韓国の競合企業を大きく引き離していることが伺えます。
■欧米メーカーの現状
これまではVW(フォルクスワーゲン)、
GMなどの欧米勢が中国市場で先行し、
シェアを伸ばした時期もありましたが、
ここ数年における日本メーカー本格的中国市場参入にともなう
生産拠点の整備、新型車の投入スピードが速く、
中高級車市場で日本ブランドに押され、
シェアは低下の一途をたどっています。
利益も日本勢に比べ低く、厳しい状況にあります。
GMは上海汽車との合弁「上海GM」で昨年はじめた
高級車キャデラックの生産停止を決定しました。
ダイムラー・クライスラーは現地調達比率を上げ、
コストダウンを狙うも販売台数が少なく、苦戦中です。
米国とEUは中国の輸入部品への高率関税(28%引き上げ)に対し、
外資の市場参入を妨げたとして、WTOに提訴しています。
日系メーカー各社は既に中核部品の現地生産体制を整えたため、
影響は受けていません。
いずれにしろ、欧米メーカーは米国市場と同様、
中国市場でも厳しい競争を強いられています。
■中国地場メーカーの現状
最後に、中国の地場メーカーについてお話しますと、
現在、中国では有力地場メーカーは
ほとんど外資との合弁企業ですが、
それ以外の民族系企業もあわせると
大小100社以上がひしめく状況になっています。
欧米、日系企業、韓国企業等外資大手と競争していくためには、
今後、中国零細メーカーの淘汰、業界再編は
避けられないと思います。
また、現在の中国メーカーの実力はまだ十分ではなく、
外資系とはかなりの差があります。
多くの中国の自動車メーカーはデザインを欧州の設計会社に外注し、
エンジンは外資系企業から調達しているというのが実態です。
また、日系企業から流出した日本車の金型の設計図を
そのまま流用するといった事例も見られており、
技術開発力という点では外資系の企業の後塵を拝しています。
しかしながら、販売価格が2万9千元(約43万円)クラスの
小型車の市場では、多くの地場メーカーが活躍しており、
その存在感は増してきているといえます。
それでも中国政府は2010年(1000万台)の国内乗用車市場で
中国ブレンド車のシェアを60%以上にする目標を掲げています。