2006年09月22日 08:20
公務員をどう動かすか (村藤/財務)
これまで、中央省庁が債務超過や財政投融資を縮小し、
小さな政府を作らなければならないという話をしてきました。
しかし、その場合に障害になるのが公務員の問題です。
今回は公務員をどう動かすかという話をしていきたいと思います。
■ 「小さな政府」が進まない一因
官から民に事業を移管する場合、
これまでその事業に携わってきた人たちの
生首をきるのは問題です。
かといって民間企業において
公務員のままでいさせるというわけにもいきません。
しかし、公務員の方々に民間に移ってください
と言っても、彼らは嫌がるでしょう。
もともと公務員になりたくて
公務員になったわけですから当然のことです。
このために「小さな政府」が進まないというのが
今の実態なのです。
■ 公務員の労働三権の問題
では、現業を民間に移すためにどうするのか。
公務員の方々にその気になってもらわないと、
ということで取り組まれているのが、
労働三権をなんとかしようという話です。
労働三権とは、団結権、団体交渉権、スト権の
3つの権利のことです。
まず団結権、みんなで団結する権利ですが、
これは既にほとんどの公務員に認められており、
あまり問題ではありません。
次に団体交渉権という、団体で人と交渉するという権利。
これは現業職員、つまり、実際に
公営事業を行っている方々には与えられています。
しかし、非現業職員、つまり、
市町村で企画などに携わっている方々には、
団体交渉されても困るということで与えられていません。
3つ目のスト権。これはストライキする権利のことですが、
公務員は現業であろうが非現業であろうが、
ストライキなど起こされると困るということで、
今まで認められてきませんでした。
たとえば市のバスなどがストライキを起こすと
非常に困ったことになります。
ところが、公務員もきちんと労働三権を獲得する
というのが官公労としての長年の悲願なのです。
官公労とは公務員の労働組合の団体です。
官公労は、自衛官や警察官などの、
国民の安全を守る方々のスト権まで
求めているわけではありませんが、
ほとんどの一般公務員には
スト権を与えて欲しいと主張しています。
■ 公務員削減における配置転換
先日、政府は小さな政府を作るために
5年間で国家公務員を5.7%削減する
という話をしています。
これは人数にして約1万9千人に相当します。
うち1万6千人程度は新卒採用の抑制で対応し、
残りの約3千人についても首を切るのではなく、
配置転換で対応しようという計画になっています。
配置転換になってもその公務員の身分が
失われるわけではありませんが、
省庁毎の採用・人事管理制度が根付いている
公務員の社会では、配置転換は
転職と同様にみなされているようです。
というのも、たこつぼ型と言われる
公務員の組織にとって、
自分の省庁から他の省庁に移されるということは、
首になって他の会社に入るのと
ほとんど同様のイメージで捉えられるからです。
一方、受け入れ側は、
経験のない他省庁の職員を受け入れたら
職場の生産性が落ちると考えているようです。
ですから本音としては、
配置転換より新卒採用を優先したいのです。
こういった状況のもとで他省庁への配置転換、
あるいは、さらにラディカルに民間企業に移ってもらう
というようなことを実行するのであれば、
労働基本権をある程度認めなければならないのではないか
ということで、これを認める方向で考えようと、
委員会が立ち上がったところです。
■ 公務員の高給の問題
公務員の問題としては給料、
とくに地方公務員の給料が高いのではないか
ということも問題になっています。
国家公務員は民間に比べて平均して6%高い程度ですが、
地方公務員は2005年度で21%高いといわれています。
たとえばバスの運転手を考えてみたとき、
民間のバスの運転手よりも、
市のバスの運転手の方が20%も給料が高い
というのはちょっとおかしな話です。
これらが税金によって賄われていることを考えてみても、
ある程度民間に合わせていかなければならないでしょう。
自治体の人件費は06年度予算で約22兆円と、
地方の一般歳出の33%を占めています。
官民格差の解消というのは、
政府の財務再建に不可欠なものとなりつつあります。
■ 天下り問題
ほかに、天下り規制を強化する話も出ています。
従来ですと、過去に省庁の課長相当職以上の経験者で、
退職後10年未満のOBというのが規制対象で、
その上で理事に占める省庁出身者を
全体の3分の1以下とする枠を設けていました。
しかし、新しい基準では、
国立大学教授や国立病院医師などの
専従者を除く常勤者全てを対象
とする方向で話が進んでいます。
つまり今後は、課長補佐で辞めていた方も
天下り規制の対象となれば、
退職後10年以上経っている方でも
規制対象になってくるということです。
これにより、天下りし、人生安泰だと考えていた
800人くらいの理事たちが、
2年以内に辞めなければならない
という話も出てくるようになります。
これら一連の流れに対し、当然
公務員の反発というものが予想されますから、
改革はなかなか一筋縄には進まないかも知れません。