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2006年09月29日 08:20

地方自治体と地方債 (村藤/財務)

今回は、地方自治体が発行している
地方債についてお話ししたいと思います。


■ 統一条件交渉方式の廃止

総務省が地方債を発行している自治体は
全部で38あるのですが、これまでは
「統一条件交渉方式」という方式をとっており、
財務が良くても悪くても条件を横並び、
つまり同じ条件で発行するということを行ってきました。


しかし、政府は今年の8月半ば、
38のうち34の自治体に対して統一条件方式をやめ、
それぞれ個別の条件で交渉して発行するように指示しました。


なぜ38全ての自治体に指示しなかったのか
ということについてですが、残りの4つの自治体、
東京都、神奈川県、横浜市、そして名古屋市は、
自治体の中でも大きく、財政的にもかなり強いところで、
地方債の発行に際し、既に個別に金融機関と交渉を行い、
個別の条件で発行してきていた
ためです。


■ “総務省談合”の廃止

今回指示を受けた34の団体は、
財務状況について良いところから
悪いところまで非常に幅があるのですが、
統一条件交渉方式により、全自治体
同じ条件で交渉してきたのです。
これは、総務省が各自治体の代わりに銀行と交渉し、
統一の金利を達成するという、
ある意味では市場を無視した談合のようなもの
でした。
このことについて、小泉さんや竹中さん達は
おかしいのでやめるべきだと考えていました。


今年の春、竹中さんが総務省に対し、
統一条件交渉支援をやめるよう指示しました。
これによって総務省は統一条件交渉支援をやめたのですが
依然として地方債の統一条件は継続していました。
これに対して、痺れを切らした竹中総務大臣が、
今後もこのような地方債の状況を放置するならば、
公正取引委員会に問題にしてもらうというような、
ちょっとした脅しをかけ、また、夕張市の財政破綻を受け、
地方債の流通利回りが拡大するなど、
市場からの圧力も強まってきたこともあり、
統一条件交渉方式をやめよう
という話になったというわけです。


国の手厚い保護の下の護送船団方式は、
金融機関については金融ビッグバンで終了しましたが、
地方自治体の地方財政制度では
「統一条件交渉方式」として依然継続していました。
これがいよいよ転換点を迎えるということです。


■ 今後は貸し手にも財務を見る必要性

これまで地銀などは、自治体に求められれば
喜んで貸出を行ってきました。
というのは、自治体が地方債を
発行したり借入を行ったりして有利子負債を増やしても、
総務省が自治体の面倒を見て、
結局地方交付税で返してくれると思っていたので、
貸したお金が返ってこないことが
ありうるとは考えなかったからです。


ところが、貸したお金が返ってくるかこないか
分からないという話になると、これからは相手を見て
貸さなければならないということになってきます。


実際、政府が34の自治体に
個別で交渉を行うように指示したことを受け、
地方債の金利水準に差が出てきています。
具体的には、10年債では国債の1.7%に対して、
埼玉県が1.8%、大阪府が2.0%。
また、5年債では国債の1.2%に対して、
千葉県と大阪府が1.3%、福岡県が1.34%と、
財務状況に従い金利が変わってきています。


そもそも各自治体で財務状況は
異なっているに決まっています。
先日夕張が破綻したというような話がありましたが、
本当は財務状況がひどいところはたくさんあるのに、
みんなそれをきちんと見てきませんでした。
これまでは総務省が面倒を見てきていたので、
貸し手にとっては暗黙の政府保証があったわけですが、
今後はそれがなくなってしまう以上、
貸し手も借り手の財務を見る必要性が出てきたわけです。


■ 福岡の財務状況

福岡の財務状況を見てみると、
福岡県は※ プライマリーバランスが赤字です。
福岡市や北九州市については、
プライマリーバランスはプラスです。
但し福岡市には、過去の経緯で結構な借り入れがあります。
「実質公債比率」と言って、収入に占める
借金返済の割合を示す指標がありますが、
18%を超えると危険なので地方債発行に
県の許可が必要と言われているにも関わらず、
福岡市はこの値が21.9%となっています。
尚、福岡県は13.7%、北九州市は11.6%です。


福岡市は、プライマリーバランスが黒字だと言うことで
大丈夫だと言っていますが、上述のように過去の経緯の
有利子負債が結構ありますから、
早いところこれを返済しておかないと、
あまり安心だとは言えないのが実情です。


プライマリーバランスとは、
借金をせずにその年の行政経費を
賄えるかどうかを見る指標で、
行政経費には借金の元利金の支払は含まないし、
収入にも借金による収入を含まず、
純粋に行政のための収入と支出が
バランスしているかどうか見るものです。

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