2006年10月09日 08:20
ケース・メソッドによる教授法 ―ビジネス・スクールの授業風景―
■ビジネス・スクールではどんな授業が行われているのか
9月末から今週にかけて
九州大学ビジネス・スクールでは,
来年4月の入学に向けた説明会,
オープンキャンパスを実施しましたが,
そこには多くの社会人の方々に来ていただきました。
働きながら大学に通うのは本当に
大変なことだと思うのですが、とても皆さん熱心でした。
ビジネス・スクールは、
ビジネスのプロフェッショナルを養成することを
目的としていますが、従来の大学や大学院とは、
どのように違う授業が行われているのかと
質問されることがよくあります。
私たちのビジネス・スクールの講義の特徴と言えば、
ゲストスピーカーを招いたり、
ディスカッション、プレゼンテーションや
ケースによる双方向性の授業が重視されていることです。
今日はその一つの「ケース・メソッド」による
教授法についてお話したいと思います。
■ケース・メソッドとは何か
ケース・メソッドとは、ある企業や業界が
直面する課題を取り上げたケースに基づいて
「自分ならば経営者として、あるいは責任者として
どう対処するか」という答えを導き出すものです。
これは1921年に
ハーバード・ビジネス・スクールで開発され、
現在ハーバード大学だけで、
毎年年間350ものケースが作成されています。
ラジオを聞かれている方は、
社内研修や様々なセミナーなどで、
特定の企業を扱った「事例研究」を勉強されたり、
本で読まれたことがあると思います。
事例研究では、
例えばなぜこの企業がこんなに成功したのか。
なぜこんな画期的な商品が産み出されたのか、
あるいはこの企業の強みは何かといった内容です。
しかし、今日ご紹介する
ケースというのはそのような事例とは少し違います。
ケースを日本語に直すと事例ではないのかと思われそうですが、
実はケース・メソッドのケースには結論がありません。
つまり事例とは違って書き手(=ケース・ライター)の主観が
出来るだけ排除されています。
■“ケース・メソッド”が“事例研究”と異なる理由
その理由は、
「自分であればどのような答えを導き出すのか」が
重視されるからです。先程もお話しましたが、
「あなたならどうように判断して、
どのように行動をするべきか」という
マネジメント・トレーニングとして、判断力、意思決定力を
高めるための思考プロセスの訓練だからです。
つまり投げかけられた課題の答えは一つではなくて、
ケースを読んだ本人がそれぞれに現状を把握して、
問題点を抽出し、詳細に分析した上で、課題解決に向けて
具体的な方法を導き出すということになります。
自分なりの答えを導き出す為には、
事前のグループ・ワークを通じて、
あるいは全体のディスカッションを通して、
他の学生の意見を聞きながら、「こんな視点もあるのだな」とか、
「こんな考え方は自分にも取り入れられる」と
いったことを訓練することが重要です。
昨年私が担当した「国際経営」という講義でも、
何回かケースを取り上げましたが、
ある時には26名の受講者から、
90分の授業時間で75回の発言がありました。
1人3回くらい時間中に発言をしていることになります。
皆さん本当に意欲的です。
もちろんケース・メソッドによる教授法が万能とは思えませんし、
ビジネス・スクールの全てではありません。
実際に、2年間の在学中に500を超えるケースを
学習するというハーバード大学は、
アメリカのビジネス・スクール中でも
むしろ特異な例かもしれません。
一方、シカゴ大学やスタンフォード大学のように、
従来の講義中心の教育を採用している
ビジネス・スクールもあります。
■“MBAが会社を滅ぼす”
この夏に発行されたばかりですが、
カナダのマッギル大学のミンツバーグ教授による
「MBAが会社を滅ぼす」という本が出ています。
ビジネス・スクールを目指す方には、
なかなかショッキングなタイトルですね。
私たちビジネス・スクールで
教えるスタッフにも同様にショッキングです。
失職しかねないですから。
しかし、納得させられる点は多くあります。
この本の中でも、
やはりケース・メソッドによる教育が取り上げられていました。
結論は、その有効性を否定するものではないが、
他の教授法とのバランスのとれた教育が
求められているというものでした。
このバランスのとれた教育とは、
まさに私たちのビジネス・スクールが
普段から重視していることです。
今日はビジネス・スクールでは
どのような授業が行われているのかを
ケース・メソッドという例を挙げながらご紹介しました。
■九州大学ビジネス・スクール(QBS)
私たち九州大学のビジネス・スクールでは、
来年4月に入学する方の試験が、
来月11月の11日、12日の週末に行われます。
出願期間は、10月16日(月)から23(月)の間で、
試験が11月になります。
定員は45名となっていて、
試験は書類選考と面接が中心になります。
ぜひ皆さんにもチャレンジしていただきたいですね。
◇九州大学ビジネス・スクール 来年度4月入学生募集中 ◇
出願期間 2006年10月16日(月)~23日(月) * 願書はHPでダウンロード可
試験期間 2006年11月11日(土)・12日(日)
詳細URL http://www.en.kyushu-u.ac.jp/BS/