2006年10月11日 08:20
中国における日本企業の戦略展開状況(4) (中国ビジネス/永池)
今日は前々回、前回に引き続き、
日本企業が中国の市場において高機能、
高付加価値で勝負している事例として、
カーナビ産業のお話をしたいと思います。
■今後急拡大が予想される中国カーナビ市場
近年、日本のカーナビゲーションシステムメーカーは
中国に続々と参入しており、
高機能の製品と、きめ細やかなアフターサービスをいう
二大看板を掲げての本格的な戦略展開を行おうとしています。
企業名を挙げますと、ケンウッドを筆頭にして
富士通テンや松下電器産業、今年に入ってからは
パイオニアとクラリオンといった企業が参入しており、
市場はにわかに活気付いています。
この背景には日本と中国の市場環境の変化があります。
以前お話しましたが、
日本国内では自動車販売台数の伸びに
鈍化の傾向が見られています。
カーナビの搭載台数も増加してはいますが、
自動車同様に頭打ちの感があり、
各社共に新しい成長市場を開拓する必要に迫られています。
一方で、中国の自動車市場は
ご存知の通り急速に拡大しています。
自動車調査会社のフォーイン(名古屋市)によれば、
2005年の中国における自動車販売台数は
前年度比14%増の575万台。
現時点でも需要拡大が続いており、
今年にも日本を抜いて世界第2位の市場となる
公算が大きいといわれています。
将来的にも2008年の北京オリンピックや
2010年の上海万博といった大きなイベントを契機にして、
更なる成長が見込め、
これに伴いカーナビの需要も拡大するものと思われます。
矢野経済研究所(東京)は予測によると、
中国のカーナビ市場は、2005年は9万台ですが、
それが2015年には260万台まで増加するとみています。
市場拡大のプロセスですが、
北京五輪や上海万博に向けて
公共車両から一般乗用車に搭載が拡がると見ています。
市場拡大は完成車に装着される
純正品(メーカーオプション)ナビが当面の間、市場を牽引し、
次第にカーナビという製品の認知度の高まりに伴って
市販のカーナビ市場に波及して拡大していくと見られます。
■高機能・高級機種で高所得層取り込み狙う日系各社
日本企業各社は、こうした市場の動きを先取りし、
積極的にマーケットに入ろうとしています。
これまでの日本企業の戦略展開を挙げますと、
2004年にケンウッドがDVD型カーナビを
2機種投入したのが最初です。
同社は現在のところ、モニタなしの製品も含めて
価格が1万4千元から2万6千元(約20万円から36万円)の
5機種を販売しています。
これに続いて参入した各社はそろって
日本向けと同様の機能を持つ2万元前後の
DVDナビを投入しています。
富士通テンは、テレビチューナーを搭載した
車内でテレビ視聴が可能な製品を発売、
松下電器産業やパイオニアは別売りモニタを接続すれば
後部座席でもDVDが視聴できる製品を市場に投入しています。
AV(音響・映像)一体型製品で
車内でのDVD視聴の需要が高い高所得層を取り込む戦略です。
日本では最近、HDD(ハードディスクドライブ)を搭載した製品が
主流になりつつありますが、
中国の高所得者層には
DVDを車内で視聴したいというニーズが高く、
富裕層をターゲットとしている各社は、
それら顧客に合わせた製品戦略ということで
DVD型に特化しています。
現地企業が手がける簡易型ナビは
車両位置の割り出しに
全地球測位システム(GPS)を使うが、
気付くと自車の位置が
道路から外れているということも起こりやすい。
日系各社はGPSに加え、
進行方向を認識するジャイロセンサーや
走行距離を把握する社速パルスを搭載し、
正確な位置情報を提供できることをアピールしています。
このように、日系各社は
精度の高い車両位置の割り出し機能などで
現地メーカーとの強い差別化を図ろうとしています。
中国という巨大市場で
「日本発」の高機能カーナビが市民権を得られるか、
各社の挑戦は始まったばかりです。
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