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2006年06月15日 08:20

九州大学発ベンチャービジネス『リアムコンパクト』  (産学連携/高田)

今日「産学連携」というものがさかんに実践されるようになってきました。
私は現在QBSのみならず、九州大学知的財産本部という、
まさに産学連携の現場の仕事にも携わっているということもありますので、
本日は九州大学発のベンチャービジネスを紹介していきたいと思います。


■ 風を見るソフトウェア「リアムコンパクト」

一口に「産学連携」と言っても色々な動きがあるわけですが、
今日は「リアムコンパクト」という、
風を見るソフトウェアについてご紹介させて頂きたいと思います。

これは九州大学の応用力学研究所で開発されています。
「風を見る」技術とはどういうものかというと、
複雑な地形を流れていく風の動きをコンピュータシミュレーションで再現し、
それをアニメーションで分かりやすく表現するというものです。

これは、風力発電用の風車をどこに設置すればいいのかという、
風車の適地の選定に非常に大きく役立つ技術です。
というのも、風力発電用の風車は設置場所を決めるのがとても難しいのです。
先日も北海道で風車を設置してみたものの、
全然回らないというトラブルがありました。


■ 日本独自のソフトウェア開発の必要性

地形が複雑になればなるほど、
風車をどこに設置するかという問題は難しいものとなります。
これに対して多くの方々が頭を抱えておられるのが現状です。

風況のシミュレーションソフトウェアは
これまで海外のものを使用することが多かったのですが、
たとえばアメリカやヨーロッパの地形というのは、
日本とは異なりずいぶんなだらかです。
特にヨーロッパにはあまり山がなく、
例えば海岸沿いやなだらかな丘陵地に
ずらっと風車が並んで建っているのを見かけます。

このような地形を想定して開発された海外のシミュレーションソフトウェアは、
日本の地形には不向きであったわけです。
つまり、日本のように、非常に入り組んだ山間地や、
海岸沿いの複雑な地形をした場所に風車を建てましょうという場合に、
風の流れを正確に予測できるソフトウェアがなかったのです。


■ リアムコンパクトの完成とその成果

日本で風をシミュレートするためには、
もっとミクロなレベルで地形を見ていかなければならない― 
そのような問題意識のもと、
九大の応用力学研究所の内田先生のグループで
色々と開発が進められました。
その結果、特殊なアルゴリズムを使い非常に簡易な形で、
しかも±10%程度の誤差でかなり正確にシミュレートできるソフトウェアが完成しました。
これはパソコン上で使用することができます。

2000年に三宅島で噴火活動がはじまりましたが、
このソフトウェアは実際の火山ガスの動きを
予測する為に使われた実績があります。
また、あるディベロッパーが地形データと風車の設置場所を先生に示し、
「この中で稼動していない風車を当ててみて下さい」
というような意地悪な質問をしたのに対し、
その全てを正確に言い当てたということで、
その結果、そのディベロッパーが即導入を決定したぐらい、
リアムコンパクトは非常に出来のよいソフトウェアなのです。

現在、九大の内田先生のグループはベンチャー企業や地元企業と共に、
ソフトに改良を加えさらなる性能向上を続けています。
地元の企業を通じてソフトウェアを販売したり、
風況解析を受託するということなども行っておられます。


■ リアムコンパクトの今後の可能性

最近、地元企業と一緒に風力発電の発電量を
ある程度正確に予測できるようなソフトが追加で開発されました。
これにより、今後さらにソフトウェアの利用が拡大するものと思われます。

「風を見る」という技術の利用は、
何も風力発電だけに留まらないと考えています。
たとえば、都市のなかで大気汚染物質が工場から流れ出たときに、
その時の風の流れでどういう方向にどれだけの量が拡散していくのかを
正確にシミュレートするといったことへの応用も可能かも知れません。
あるいは花粉症などの予測にもよいかもしれません。

最近は都市のヒートアイランド現象が大きな問題となっていますが、
都市開発に際しては、熱をどうやって
逃がしてやるかということを考えなければなりません。
そういったところでもこのシミュレーションソフトが有用だと考えています。

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