2006年10月25日 08:20
中国ソフトウェア産業の未来 (中国ビジネス/永池)
■高い成長力を見せる中国ソフトウェア産業
中国の情報産業省が最近発表した
ソフトウェア産業の発展計画によると、
中国はソフトウェア産業の売上高を
2010年までに1兆3000億元(約16兆円)までに
成長させることを目指しているとのことです。
現在の売上高が3900億元(約6兆円)なので、
5年間でこの目標値に達するには
年平均30%を上回る成長が求められますが、
中国ソフト産業協会理事長によれば、
この30%の成長率というは
控えめな数値であると豪語しています。
因みに、ソフトウェア産業は
中国の電子情報産業の中でも
最も高い成長を示しており、
現に昨年の売上高は前年比61%増となっています。
この背景にはソフトウェア産業のグローバル化に伴う
国際分業の発展があると考えられます。
多くの先進国の企業が自国から海外にシフトする中で、
その候補先としてアジア太平洋地域、
特に中国とインドなどのソフトウェア産業に
大きな発展をもたらすものと見られています。
現在、世界全体から見た中国のソフトウェア産業のシェアは
2005年時点で3.5%に上昇し、インドと韓国を抜きました。
今後、中国のソフトウェア産業が生産方式、企業規模、
人材の育成で成果を収めることができれば、
将来は3倍の10%超と、
非常に存在感のあるものになると考えられています。
これまでの中国の成長は、
製造業を中心としたハードウェアによって
支えられてきた感がありますが、
今後はソフトウェアのような
付加価値の高いビジネスにも力を入れていくと思われます。
■高成長を実現させるための課題と布石
アジアにおけるソフトウェア産業の成長のけん引役は
中国とインドですが、両国には大きな違いがあります。
まず、中国のソフトウェア産業の特徴ですが、
規模が極端に小さい企業が多いことであり、
従業員1千人以上の企業は全体の1%にも達しておらず、
50人以下の小企業は全体の60%を占めています。
これに対してインドは、インドのシリコンバレーと称される
バンガロールという都市に顕著ですが、
1千人規模の企業が100社以上もあり、
全体の平均従業員数は300人を超えています。
中国の計画では中国も2010年までに
大規模な企業が誕生することになっています。
しかし、そのためには人材の育成と大量供給という
課題を解決することが求められます。
ソフトウェア産業では、高学歴の人材が必要とされます。
現在、その解決策として中国の大学は
ソフトウェア専攻を増設しています。
中国の大学は少数のエリートしかいけないこと、
現在ある総合大学だけでは
キャパシティを賄いきれない事などから、
2002年以降におよそ35の情報系の
ソフト学院(単科大学)が設立されています。
この様な単科大学には、現在5万1000人程の学生が
ソフト学科を専攻する本科在学生が在籍しています。
また、ソフト関連学科専攻学生は104万人います。
今後5年間に、ソフト産業の従業員は
現在の90万人から約250万人に増える見込みです。
■オフショア開発で進出する日本企業
以上と関連して、日本のIT企業の動向にも少し触れておきます。
日本ではソフトウェア産業の問題として、
技術者不足が指摘されています。
それを補うために、近年では多くの企業が海外、
特に中国やインドへの開発委託を行っており、
この様な開発委託はオフショア開発と呼ばれています。
東京の調査機関が
中国野ソフト企業702社(有効回答数698社)に対して行った
アンケート調査によりますと、
22.8%がオフショア開発の実績があると回答しています。
とりわけ、企業規模が大きくなるほど、
実施比率は高く46%に達しています。
2005年のオフショア開発売上高は
前年比27%増の56億元(727億円)、
このうち、日本企業向けが33億元で
全体の66%を占めています。
今後も年率30%増で伸びると予想されています。
オフショア開発は、安い人件費によって
開発費用を抑えることが出来るため、
今後も増加すると思われます。
例えば、中国東北部などは日本語人口が多く、
仕事を進める上で翻訳の必要がないという利点もあるので、
特に盛んになる可能性があります。