2006年11月08日 08:20
中国の外資導入政策の転換-熱烈歓迎から選別の時代へ-(中国ビジネス/永池)
今回は、中国の外資導入政策に
変化の兆しが見られることについての
お話をしたいと思います。
■外資導入は選別型に移行
これまで中国政府は、
外資系企業には全面的に
熱烈歓迎ということで誘致していました。
外資系企業は大手を振って中国に進出し、
それによって生産量が拡大され、
輸出も増加することで、
外資系企業の主導による
経済成長が行なわれてきました。
しかし、今年に入ってから
その政策に大きな変化があり、
現在では外資系企業を
選別するようになってきています。
その背景としては、
公害に代表されるような環境問題や
都市の過密化といった問題が顕在化していること、
そしてその一方で、
貧富の差が拡大しているといった
社会の歪みが発生していることが挙げられます。
その対応の一つとして、
中国政府は今年の春に、
第11次五カ年計画を採択しました。
このなかで重点項目として工業構造、
産業構造の高度化、サービス産業の発展の加速、
環境にやさしい社会の実現、
自主的な技術による革新
といったことが掲げられています。
それと並んで外資導入の質、量の向上も述べられており、
外資の全面的優遇時代から脱却し、
今後は選別の時代に入るということを
はっきりと宣言しているといえます。
これまでの約20年は、
最も早く外資系企業を誘致して
驚くべき経済成長を遂げた
広東省深セン市に代表されるように、
地元の政府が主導して、
農業地を工業団地に作り変えて
外資を積極的に導入するということが一般的でした。
日系企業もこれに応じて積極的に進出しており、
現在は、広東省だけを見ても
中小含めて一千社規模の日系企業が進出しています。
ところがその実態としては、
かなり多くの工業団地が
法律を無視した違法誘致によって
作られたものであるといわれています。
特に、中央政府の許可を得ずに、
広東省の地方政府が独断で、
農地を強制的に工業団地に
変えてしまったことに対しては、
農地を奪っての乱開発ということで
農民が地方政府に反発を強めており、
暴動も発生しています。
また、工業団地では
排ガスや有機物質を垂れ流す工場が非常に多く、
環境汚染の温床となっているといったことにも
中央政府は危機感を抱いています。
■今後は、状況変化を踏まえた進出が必要
中国では、農民、農村、農業の問題のことを
「三農問題」と呼んでいますが、
上記のような状況は「三農問題」を
より深刻化させるのではないかと懸念されており、
そのためにもきちんとした法治制度、
すなわち法と政策に則った統治の必要性が説かれています。
その結果として、前述の五ヵ年計画では
誘致すべき外資系企業を
ハイテクや省エネといった環境にやさしい、
もしくは技術革新に大きく貢献するような
産業に限定するということになりました。
具体的には、半導体やコンピュータ、
基幹部品産業、バイオ産業、
高付加価値サービス産業といったところとなり、
それ以外の産業では、
厳しい環境規制をクリアすることが
求められることになります。
今後、中国進出を考えている企業は、
以上のような状況変化をしっかり認識した上で、
十分に調査検討を行い進出を決断することが必要です。
そうでないと、思わぬシッペ返しや
突然の工場の立ち退きや移転を
余儀なくされることを覚悟しなければなりません。