2008年04月30日
曖昧母音 (異文化コミュニケーション/鈴木右文)
今回は、日本人にとって難しい
曖昧母音についてお話しします。
■曖昧母音について
曖昧母音とは、どのような音なのか、
実際に発音を試してみると
わかりやすいと思います。
「駅」の意味のstationという単語を、
日本語読みした場合と
英語読みした場合の印象を
確認してみましょう。
日本語の発音をカタカナで
表記すれば「ステーション」、
英語の発音では
「ステイシュン」[steɪˈʃən]です。
最後のtionの部分を
発音した際の印象が、
非常に異なっています。
この違いは、英語の発音では
曖昧母音を使っているのに対し、
日本語の発音では
「ア・イ・ウ・エ・オ」の母音を
使っているためです。
日本人は英語を発音する際に、
日本語の母音を使ってしまうことが多く、
この問題を何とか解決できれば、
ネイティブらしい発音に
近づくことができます。
日本語では、
曖昧母音が使われることは
ほとんどありません。
そのため、stationを発音する際、
スペリングのtionに含まれるoに、
日本語の母音「オ」を
半ば無意識的にあてはめて、
発音してしまうのです。
特に、英語を学び始めた
中学生の時期に、
日本語の母音をあてはめて
発音しても修正されず、
そのまま定着してしまっているようです。
ただし、最近では、日本人の中にも、
洋楽などを聞くことによって、
感覚的に曖昧母音を発音できる方が
増えつつあります。
■曖昧母音と日本語の母音の違い
日本語の母音の「ア・イ・ウ・エ・オ」は、
いずれも口の周りの筋肉を
ある特定の形にしようと、
緊張させて音を発しています。
しかし、英語の曖昧母音は、
力を抜いて発音した時に、
声帯を震わせて出てくる音です。
以前、「ア」や「イ」の音を発音する
口の中の位置について説明しました。
曖昧母音の場合は、
口の中の特定の位置ではなく、
ちょうど真ん中で発音します。
ため息をつくように、[ə]、[ə]と
発音すれば、曖昧母音になります。
そうすると、先ほどのstationも、
「オ」ではなく[ə]という音になり、
「ステイシュン」[steɪˈʃən]と
発音できます。
力を抜いて発音することは、
なかなか難しいと思いますが、
これは重要なポイントです。
■本来の母音と曖昧母音
力を抜いて発音することにより
弱くなった音は、
本来の母音がどの音であっても、
同じ曖昧母音になります。
つまり、英単語のスペルを見て、
どの母音なのか見当がつく部分が
あったとしても、
曖昧母音で発音すべきところは、
全て同じような音に聞こえます。
例えば、「科学的に」という
副詞scientificallyは、fiの部分の
スペルにiが含まれているため、
母音は「イ」です。
また、callyの部分は、caというスペルから、
母音は「ア」と考えられます。
しかし、「フィカリー」と発音するのではなく、
どちらの部分も曖昧母音の[ə]で発音するため、
「フクリー」とほぼ同じ音に聞こえます。
別の例として、
「美しい」の意味のbeautifulも挙げられます。
この単語のアクセントは、beauの部分にあり、
「ビュー」と発音します。
その後のアクセントのないtiとfulの部分は、
母音の「イ」と「ウ」が曖昧母音になります。
よって、「ビューリフォ」と発音します。
■英語のアクセントと曖昧母音
英語には、アクセントのある部分と
そうでない部分があります。
アクセントのある部分については、
母音をはっきりと発音します。
そうでない部分は、
先ほどのbeautifulの例のように、
原則として曖昧母音に音が変わります。
もちろん、いくつかの例外はあります。
例えば、二重母音や三重母音の部分は、
アクセントがなくても、
ある程度はっきりと発音します。
まずは、曖昧母音が、
力を入れずに発音する音だということを、
ご理解いただければよいかと思います。